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2008年1月17日 (木)

健康第一と感謝の気持ち(下)

更に戦後日本の豊かさと科学の進歩により、何事も簡単に手に入り、しかもそれが即席で自動的であり、大した努力や工夫がなくともスイッッチを押したりやコインを入れれば出てくる、という安易さに慣れてしまっています。

新聞やテレビで、自殺者あるいは自殺未遂者、さらには犯罪を起こした人々の話を聞いていると、人生一直線でまっすぐ歩くことしか学んでいなく、険しい道や回り道、そして道のないところに道をつくる勇気と工夫がなくなっています。工夫とは無縁の人生を送っているようです。例えば就職が見つからないからといって自殺する人、自分の思うようにいかず、むしゃくしゃしたから人を傷つけるという衝動的犯罪などです。

そこから私が痛感することは、この国の教育や人々の価値観が、金や目に見えるものばかりに置かれているということです。チベットの諺に「一番優れた指導者は自らの言動を指揮できる人、そして一番金持ちは借金のない人」というものがあります。

現代社会においては、自らの主体性を重視することよりも、ファッションや流行を追いかけ、世論をリードする人々までも、蜘蛛が自らの巣に掛かっているような様子であるのに加え、借金がたくさんできる人、借金がたくさんある人が金持ちであるかのように評価される社会になっています。世界で一番借金の多い国々が金持ちと言われ、そして会社や個人でも借金が借金を生んで大きくなっている時は周囲からも成功者としてちやほやされ、いざその会社が何かの理由でちょっと脱線し、内部矛盾に耐えられなくなって内部から告発されると大きな音を立てて崩れ始め、地面に倒れ落ちた時に初めてその会社や人物の膨大な赤字と借金だけが見えてきます。結果的には社会の純情な人達が被害を被り、それまで英雄扱いされていた人は一晩にして悪人へ転落するのです。

私達は、現実の世界で試行錯誤し、切磋琢磨し、集合離散を繰り返す中で精神的に鍛えられ、肉体的にも成長していきます。仏教では真言を唱えることで、体の中の空気を浄化し、脳に酸素を送り、そして邪念を排除し、集中力を養い、更に五体投地によって健康と強い精神力を身につけていくのです。また五体投地は動物のように自分自身の四肢を地面につけることで、謙虚さをも学べます。そして断食をすることで、飢える事の厳しさから人としての節度と感謝を身につけます。

私は健康で働く場と働ける環境、そしてある一定の財力を持ち、それを感謝する気持ちがあれば、人々もより幸せになり、社会もより健全になるのではないかと思っています。(了)

※財団法人・修養団発行「向上」(2008年1月号)より転載

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