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2008年2月26日 (火)

家族の意味 (下)

たまたま年末に、正月の飾り物や正月の過ごし方についてのクイズ形式のテレビ番組を見ました。細木数子が非常識な答えをする大人たちに対して怒ったり、呆れたりしていましたが、私も目と耳を疑ってしまいました。バラエティー番組ですから、視聴者の受けを狙ってわざと非常識な答えをしていたのかもしれませんが、たとえそうであっても番組の内容は仰天させられるものでした。私は長い間、日本は豊かな文化と長い伝統を有する高度な文明国家であると思い込んでいました。おそらく日本の対外的なイメージは、そのような好ましい印象が根づいていると言えるでしょう。しかしこの番組を見た後、私は、日本の伝統文化が脆弱化してきているように思いました。

以前にも述べたかもしれませんが、日本が唯一アジアで西洋の植民地支配を受けずに独立を維持できたのも、また先の戦争で敗戦しても世界有数の豊かな国、長寿の国、安全な国へと日本を築きあげることができたのも、背景に家族意識、学閥意識、職人意識などへの強い誇りがあったからだと思います。

私自身、四十数年前に日本で生活をし始めた頃は、日本人が他人の目を意識することと、”しつこい”と思えるほど他人の行動に干渉することに強い違和感を感じました。過剰すぎるほどに、店ののれんや校章、企業や職場の名誉などを大切にすることに、重圧のようなものを感じました。しかし、これこそが日本を強くしてきた文化のエッセンスであると後に思うようになりました。

もう一つ、当時驚いたことがあります。それは、日本人はお酒を仲間同士で一杯やる時などは上司の悪口を言いますが、外部の人間の前では、上司を立て、また一丸となって結束するという、内と外との分別を持っていることでした。

今、世の中で最も社会に対して影響力を持っているのは、ユダヤ人と華僑、そして印僑ではないでしょうか。そして、これらの民族は、何よりも家族、同族を大切にしており、家長制度をしっかり持っています。日本の場合は、長い間、天皇がこの家長的役割を担ってきたように思えます。しかし昨今は「開かれた皇室」の大義のもと、皇室に対する認識も変わってきています。

私は、職場で保育所を作るよりも、親子三代が同居できるような人間関係の再構築に全力を投球することが急務であるように思います。最近は、家長、校長、社長など長のつく人々はその地位相応の権限も権威も与えられていないようでいて、お詫びの場でしか出番がないようです。責任ある者にはそれなりの権限を与え、権威を尊重すべきではないでしょうか。

ヨーロッパでは婚姻外の子どもが四〇%を越えたそうですが、もう一度”家族”の意味を考え直し、西洋の良いところは当然ですが、悪いところもきちんと見極めて、手遅れにならないうちに是正することも大事なのではないでしょうか。 (了)

※財団法人・修養団発行「向上」(2008年3月号)より転載

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