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2008年3月 5日 (水)

7. 松下幸之助も取り込まれた

石平 このような歴史が何を意味するかと言うと、チベットが自治区でなくなる日には、ネパールやパキスタンが自治区になるということです。

ペマ そうなります。その前触れとして、マオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)があります。当初から中国は「マオイストとは無関係」「毛沢東の名を汚す」と言っています。しかし、私は昨年ネパールに行って取材してきましたが、マオイストの人たちは時代錯誤もいいところですが、文化大革命当時の毛沢東のバッジをつけているのです。

石平 なつかしいですね。

ペマ マオイストのような人たちを活動させるような環境を中国は作ります。
 例えば、昔、松下幸之助さんの著書で「中国共産党のような国は絶対に認めない」という文章を読んだことがあります。また、笹川良一さんもはっきりと「自分は蒋介石に恩を感じているから共産主義などとんでもない」と言っておられました。しかしその二人とも、中国がうまく取り込みましたね。
 どういうふうに取り込むかというと、松下さんや笹川さんのような方にお金を渡しても仕方がないので、名誉を与えるのです。松下幸之助さんの場合で言えば、鄧小平は松下さんが書いた本をたくさん取り寄せて読み、松下さんが訪中した際に「あの本は素晴らしかった」などと言う。すると松下さんは「そうか!」といい気分になるわけです。
 笹川さんの場合は、彼はA級戦犯です。靖国神社にはA級戦犯が祀ってあるということで中国は首相参拝に内政干渉しているはずです。しかし、笹川さんから援助を受けているとは何も言わない。そういうところはきちんと使い分ける。戦術的なことが中国はとても上手い。
 今、中国は十三億の市場と労働賃金が安いということをエサに日本からの投資を引き出しています。しかし、きちんと調べるとよくわかると思いますが、たくさんの日本人が中国の刑務所に入っています。どういう人たちが刑務所に入っているかというと、皆、成功した人たちです。
 成功すると税金を払わなければなりません。その税金の支払いでもめたりすると、別件逮捕する。その人の名誉にかかわるような罪、例えば女性絡みなどで逮捕します。すると家族も表だって騒げません。しかし、これについて日本人は全く知らない。もっと知るべきです。
 私は中国の学生に、「中国は経済発展していると言うが、これは清朝末期と同じ状況なのではないか」と言っています。中国の経済は、日本やユダヤなどの経済植民地になっているのではないか。その状況の中で得をするのは、幹部の子どもだけです。
 一般の中国人の唯一の利益は、外国の工場ができればそこで働けるということです。しかし、そこで働けば働くほど、毛沢東以来やってきた農業の自立は失われます。
 ですから私は、今の中国は遅かれ早かれ、大きな変化が必ず来ると思っています。アメリカやヨーロッパはその変化を誘導しようとしています。
 アメリカやヨーロッパはかつて東ヨーロッパに行ったことと同じことをしています。一方では外交関係において少しずつ圧力をかける。他方においては、莫大なカネをかけて民主化を支援しています。日本はそれに乗り遅れています。日本はそこを注意しなければならない。

(続く)

□ Will-2008年3月号より転載 □

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