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2008年3月 4日 (火)

6. 狡猾な”麻薬”戦術

石平 でもチベットのようにやられてしまったら、免疫が出来ても遅いですよ。

ペマ そうですね。中国に対していちばん免疫を持っているのはベトナムですね。

石平 そう、ベトナムは中華帝国に反抗することでアイデンティティーを保ってきた国です。

ペマ インドも少しは免疫が出来てきたし、韓国も北朝鮮も出来ましたね。最近の世論調査では、中国人のいちばん嫌いな国の一位は韓国です。なぜかと言えば、韓国や北朝鮮は長い歴史の中で絶えず自分たちの独立を維持するために、中国と戦ってきた歴史があるからです。
 先日、盧武鉱大統領が北朝鮮を訪れた時に金正日が、「朝鮮戦争を終わりにしたい。そして中国を抜きにしてアメリカと直接交渉したい」と言いましたね。「なるべく中国に借りを作りたくない」という、長年、中国と接してきて彼らが得た教訓です。
 残念ながら日本はまだ中国に痛い目に遭わされていないから、わからないのだと思いますね。でも本当は
すでにもう日本のあらゆる部分が麻薬を打たれたような状態ではあります。

石平 今、麻薬の話が出ましたが、昔、漢民族は黄河流域にいましたが、どんどんとその領土を広げています。その方法が麻薬を打っていくというものです。まず、いちばん近い者を懐柔する。つまり麻薬を打つ。例えばチベットに対しては、先ほど出たように給料を払うとか鉄道を作るということが麻薬です。

ペマ もっと遡れば、七世紀から九世紀のチベットはとても人口が多く、強い国でした。その時、明朝はチベットに軍隊を送るよりも僧のスポンサーになることを考えた。そしてチベットの僧に大師という称号を与えたため、チベット人は喜んで人ロの二五パーセントが僧になりました。すると、その二五パーセントの男性は結婚しません。そのうえ、どんどん平和主義になりました。
 それまでチベットは騎馬民族ですから、戦車もない時代には非常に強い国だったわけです。しかし僧が増えて平和主義になり、軍事力は衰退した。これが中国の麻薬、智恵です。

石平 そういうのはうまいんですよ、我が漢民族は(笑)。そうしていちばん近い者に麻薬を打って懐柔します。そして遠い国を外臣国と認定します。形だけ中華帝国に服従していればよくて、その代わりに莫大な援助を行います。
 今、中国には自治区がたくさんありますが、あれは自治がなくなってから自治区となります。

ペマ そうですね(笑)。

石平 貴州省や雲南省などは昔、いろんな民族が住んでいた場所です。それを外臣国、次は自治区として形だけ朝貢していればよいとします。しかしだんだんに軍を派遣し、既成事実を作って占領し、自治区ではなく省とする。
 ですから順番としては漢民族に近い貴州を獲り、貴州を獲ったら雲南を獲り、雲南を獲ったらチベットを獲る。こうして広がっていくわけです。今、チベットは自治区ですが、あと十年経ったら自治区ではなく、省になってしまう。

ペマ 今の青海省はほとんどがチベットの領土でしたし、雲南省にもチベットの自治県が三つほどありました。
 そもそも、中国は我々を少数民族だと言いますが、彼ら億単位の人口に比較すると少数であるだけで、世界の人口で考えると、六百万人といえば世界中の国々の半分より上の人口を持つ国です。しかし中国は既成事実を作ってどんどんと中国だと認めさせるのです。
 私が頭にきているのは、アメリカは日本を同盟国だとしていますが、最近のペンタゴンの文献には尖閣諸島を日本名で書いた後にスラッシュ(/)を引いて、中国名を書いています。中国はこういうところから少しずつ既成事実を作り、後に「前からこう書かれているではないか」と言い張ります。
 このような中国人のやり口に負けた原因の一つは、私たちチベット人にあるということを反省しています。あまりにも仏教を信仰しすぎました。僧を大事にしましたが、その僧こそが中国から肩書きをもらい、寄進してもらい、どれだけ立派な寺を建てたかを競うようになってしまった。

(続く)

□ Will-2008年3月号より転載 □

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《証言》 中国は世界一の侵略国家だ」カテゴリの記事