« 報道番組「IN side OUT」(BS11)出演のお知らせ | トップページ | 中国はチベットに何をしたのか (上) »

2008年3月29日 (土)

責任について(下)

 今の日本には、政治や社会の問題を見てもだんだんと慎重になり、何もしなければ失敗もすることがないと思い、常に危ない橋は渡らない方が賢明だという選択をする傾向があります。

 私は、患者をたらい回しにしているニュースを見ながら、そのような医師たちに対して腹立たしく思うというよりも同情心を持って見ていました。ひきょう多分それは自分自身の卑怯な行為を正当化する無意識の働きであったのかもしれません。

 そのような時に、私はある諺を思い出しました。「私たちはしたことに対して責任を感じ、悔いることも大切であるが、それ以上に、するべきことをしなかったことに対する悔いと責任の方が重いということを知るべきである」これはマハトマ・ガンジーの言葉だったと思いますが、確かにこの言葉どおりです。私たちは個人としてすべきことから逃げる行為、リーダーとして決断を避ける行為、宗教家としてあるいは言論人として言うべきことを言わなかった勇気のなさなど考えると、すべきことをしてこなかった責任ということも考えるべきではないでしょうか。

 例えば今日本が抱えている食糧問題、過疎化の問題、教育問題、格差問題などを放置していくことは、次世代の人々に対して、これ以上の無責任なことはないでしょう。悪意による意図的なミスに対しては当然責任の追及はしなければなりませんが、善意と誠意に基づく過失に対して無差別に責任追及をしたり訴訟を起こす者に対しては、逆に勇気を持ってこれを是正すべき時期にきているのではないかと私は思います。

 私の新年の誓いは、一教育者としてより積極的に学生たちと接し、教室外の指導にも力を入れ、学生が鞄を持ってくれたら「ありがとう」と言って鞄を渡し、ドアを開けてくれたらこれにも「ありがとう」と言って堂々と胸を張って先を行けるような教員になりたい、というものです。

 すべきことをしなかった悔いよりも、することによって失敗しても改める勇気と知恵を授かるよう願っています。

 つまり今の風潮からすると不人気で頑固な教員ということになるかもしれませんが、誠意を持って厳しく、そして積極的に学生に対応していく決意をしました。最近流行の政治家のマニフェストのようなきれいごとを並べることよりも、抱えている問題を一つ一つ片づけていくことの方が急務であるように思います。

 内閣総理大臣をはじめ、それなりの地位と責任のある立場の方々は、周囲がどう思うかということを気にして風向きを確かめるよりも、それぞれの職務上、今何をすべきか、それが後にどのような結果をもたらすであろうかを考えることが重要ではないでしょうか。それと同時に今しなければならない問題に知恵を出し、勇気を持って取り組むべきではないでしょうか。

 例えば尖閣諸島の領土問題を例にしても、中国の指導者は一つの戦術として問題を先送りしようと提案しながら着実に既成事実を作り、自分たちの目的達成のための行動を取っています。ところが日本の指導者の言動は、自分の政権下においてごたごたした問題を起こしたくないという逃げの策に過ぎないように見えてきます。いつの間にか中国のぺースで物事が進んでいるように見えますが、皆様はどう思われるでしょうか。 (了)

※ 「向上」(2008年4月号)より転載

|

« 報道番組「IN side OUT」(BS11)出演のお知らせ | トップページ | 中国はチベットに何をしたのか (上) »

幸せって何だろう?」カテゴリの記事