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2008年3月 3日 (月)

5. 台湾の次は日本を獲る

石平 これは日中関係にも重要なことだと思います。
 一九五〇年代、中国にとって、いちばんの友好国はインドでした。その友好関係を使って、戦略的にチベットを獲る。インドの協力がなければチベットを獲ることはできないからです。しかし一九五九年になって、完全にダライ・ラマを追い出すことに成功し、チベットに対する支配を完全にしてからは、インドを獲りにいくわけです。

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ペマ そうですね。

石平 日中関係もまさに同じ構図ですよ。例えば今は、日本に対して微笑外交をしている。それはまさにこれから台湾をチベットのように支配下に入れるためには、日本の協力、あるいは妥協がなければならないからです。日本を懐柔して台湾を獲った後は、日本を獲りに来るということを歴史が教えています。

ペマ しかし日本はそこまで見ていませんね。今回の福田首相の訪中でかろうじて評価できるのは、温家宝首相が福田首相の言葉を平気で「台湾の独立を支持しない」というふうに意図的に変えて発表した時、福田首相は即座にうまく改めました。
 中国はこうやって既成事実を作っていく国です。あの時、福田首相が黙っていれば、「日本は台湾の独立に反対した」と言われるようになる。そうやって我々チベット人もインドも、既成事実を作られ、騙されてきました。
 日本にとって中国は隣国ですからつきあわざるを得ませんが、それはあくまでも対等、平等の原則をもってのつきあいであるべきです。
 今の日本の外交はチベットの諺で言うと、「灯明に蛾が飛びつく」だと言えます。つまり、目先の利益に飛びついて結局、死んでしまうということです。日本人は中国のマーケットの魅力しか見ていない。しかし、中国は一晩で全てのカネを没収する可能性もある体制なのです。
 もう一つ、小泉元首相は靖国神社参拝を前倒しして八月十三日に行いましたが、あの参拝を十五日に行っていれば問題はすべて解決していたと思います。それを前倒ししたため、これならまだ「行くな」と言うことができると中国は思った。
 我々の経験から言うと、中国はある程度、力を崇拝します。そしていつも脈を見ていて、ここまで行ける、もっと行けると考える。

石平 そうしながら相手に幻想を抱かせますよね。譲歩したらいいことがある、もっと譲歩したらもっといいことがあると。

ペマ そう。それから相手の中に入って自分の味方を作ります。我々が中国に交渉に行く時、勉強するために二週間ほど早く現地入りします。その時、中国は案内をしながら、誰を懐柔すればよいかというのを見極めている。毎晩、我々が何を話したかを全て書き留めて、それを分析し、その分析を元に分断工作をします。

石平 おそらく訪中した日本の国会議員は全員やられていますね。

ペマ そうです。そして、競争心を煽るために差をつけます。

石平 まさに先日、日本がやられましたね。まず、小沢一郎民主党代表を北京に呼び、感動させた。感動した小沢民主党代表は中国に対する「朝貢外交」を恥ずかしげもなくやってみせた。すると、後から訪中した福田首相は、小沢代表以上の友好姿勢を示そうということになり、キャッチボールして見せたりする(笑)。こうして中国は懐柔していく。
 その中国の鍛え上げられた罠に、与党と野党のトップがまんまと引っかかるというのが今の日本です。一人も見識ある議員がいないのか。

ペマ まだ日本は免疫ができていないですからね。

(続く)

□ Will-2008年3月号より転載 □

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