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2008年4月24日 (木)

第2のチベットを懸念する

中国の本質は覇権国家 

経済に目が眩んだ認識正せ


人権説くダライ・ラマは鬼か

四月十日、ダライ・ラマ法王がアメリカ訪問途中、日本の成田空港に立ち寄りマスコミ関係者と四十数分間記者会見を行った。会場には百二十名前後のメディア関係者が押し寄せ熱気に溢れた雰囲気となった。法王は改めてご自分は中国によるオリンピック開催に反対していない、むしろ支持をしていると強調なさった。またチベット問題と関連しオリンピックの聖火ランナーに対する妨害的な行為も支持していないし、そのような暴力的な手段による妨害はしないように呼び掛けているとおっしゃった。

それを受けて日本国内でも法王が中国によるオリンピックの主催を支持しておられるので、妨害するような行為を行ってはならないという、ごもっとものような意見を述べる人がいたが、私は法王のお言葉の真意は中国に対しオリンピックを開催できるような常識的な国家になって欲しい、中国が世界に誇れるような民主主義と人権を尊重するような国になって欲しいという願いが込められているように思う。

また法王は、中国の指導者たちは現実から目をそらさず現実に照らし合わせて真実を追求して欲しいともおっしゃつていた。会場の皆さんの前で法王は頭の両脇から人差し指で角を表すような仕草をされ、「私が鬼に見えますか。私には角などありませんし、私が鬼かどうかは皆さんが分かると思います。しかし中国政府は私が鬼であり、今回の一連の抗議行動を後ろで糸を引いていると言って個人攻撃をしていますが、これは事実無根で、もしそうおっしゃるのであれば中国の方々や第三者の機関がダラムサラも合めて調査に来て頂ければ分かることです。中国の指導者たちは現実を見て、問題解決に努めるべきです。今のような民衆の不満を力で抑え、暴力的に問題対処することは時代遅れです」と、法王にしては珍しく中国を強い口調で批判された。

中国共産党の軍拡と不安要因

中国のあまりにも出鱈目な時代遅れの人格抹殺を図った共産党特有のキャンペーンに対してうんざりなさっておられる気持ちはよく理解できる。そのようなキャンペーンで世界の世論を説得できると思っている中国の時代錯誤な認識には果れ返るというほか言いようがない。

それにしても、今、中国は目覚ましい経済成長と目に余る軍備増強で、世界の注目を浴びていると同時に、周囲の国々の不安をかき立てている。今チベットで起きていることが、いつ我が身に降ってくるか分からないからである。

そのような中で比較的呑気に構えているのは日本ぐらいである。日本の政治に大きな影響力を持っている経済界の首脳陣が目先のマーケットとしての中国に目が眩んでいる。

しかし、それは希望的観測で幻想であり、中国の実態はもっとフラジャイル(Fragile:-脆い、壊れやすい)であり、いつ崩れてもおかしくない様々な要因を抱えている。そのような間題の一つで、アキレス腱になり得るのがチベット問題であると言えるのではなかろうか。

もちろん、中国当局はその機関誌などを通して、ウイグルでの抵抗運動について反国家的行為で、テロ活動があったと報じ、先週も四十八名逮捕したと自慢げに報じているが、それを裏返して考えてみればチベット以上にウイグルの人々が抵抗していることを物語っている。

また中国は、見せしめのため国内の中国人の人権活動家などについても国家を崩壊させようとした罪などで厳しい判決を言い渡したと報じているが、これもまた逆に言えば、それだけ今の政権に対する不満が国内で高まっていることを意味するものである。

安定したマーケットではない

北京オリンピックに関しては、チベット問題などに絡む政治問題のほかに環境問題も大きく、諸外国の裕福な選手たちは大会直前まで日本などに待機する予定であると聞いている。これらすべての問題を総合的に考えれば、中国は決して一部の経済人の言うような安定したマーケットなどではない。まして資源が豊宮な国でもない。なぜならば、今たくさんの地下資源が眠っている領域は本来中国の領土外の地域だからである。

日本の経済人は近視眼的な利益よりも長期的な国家戦略に基づく視野でチベットを見、中国を見て考えを正す時期に来ているのではないか。中国の本質的な覇権国家としての潜在的国家目標をどのように打ち破って行くかということもアジア全体の安全と発展を考える上で重要なテーマではないかと私は思う。

チベット問題を単に哀れな出来事として見るのではなく、中国という国の正体を見極め、そこの人々の真の幸せを願い、アジアと世界の平和と永久的繁栄を望む立場から今回の一連の出来事、オリンピック問題などを考えるべきではないだろうか。

※「世界日報」(2008年4月17日付)より転載

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