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2008年5月29日 (木)

人権と民族自決権 (下)

それにしても今、中国は目覚ましい経済成長と目に余る軍備増強で、世界の注目を浴びると同時に周囲の国々の不安をかきたてています。チベットで起きていることが、いつわが身に降りかかってくるかわからないからです。

そのような中で比較的呑気に構えているのは日本くらいでしょう。日本の経済界の首脳陣は「目先のマーケットとしての中国」に目が眩んでいる状態です。しかしそれは希望的観測であり、中国の実態は、いつ崩れかけてもおかしくない様々な要因を抱えています

そのような問題の一つで、アキレス腱になり得るのがチベット問題であると言えるのではないでしょうか。もちろん中国当局は、ウイグルでの抵抗運動は反国家的行為であり、先週もテロ行為で四十八名を逮捕したと自慢げに報じています。それを裏返して考えてみれば、チベット以上にウイグルで人々が抵抗していることを物語っています。また中国は見せしめのため国内の中国人の活動家についても、国家を崩壊しようとした罪などで厳しい判決を言いわたしたと報じています。これも逆に言えば、それだけ今の政権に対して国内で不満が高まっていることを意味しています。

これらの問題を総合的に考えれば、中国は決して一部の経済人の言うような安定したマーケットなどではありません。まして資源が豊富な国でもないのです。なぜならば今、たくさんの地下資源が眠っている領域は、本来中国の領土外の地域だからです。

日本の経済人は近視眼的な利益よりも、長期的な国家戦略に基づく視野でチベットや中国を見て、考えを正す時期ではないのでしょうか。

中国の本質的な覇権国家としての潜在的国家目標をどのように打ち破って行くかということも、アジア全体の安全と発展を考える上で、重要なテーマではないかと私には思えるのです。

チベット問題を単に哀れなできごととして見るのではなく、中国という国の正体を見極め、そこの人々の真の幸せを願い、アジアと世界の平和と永久的繁栄を望む立場から、今回の一連の出来事や、オリンピック問題などを考えるべきではないでしょうか。

日本は戦後、米国の占領支配を受けた体験からも「民族自決権の重要性と人権の尊さ」については世界のどの民族よりも、どの国よりも実感を持っているはずです。従って今、中国で起きている人権侵害と民族自決権を無視した行為に対しては、もっと積極的に発言すべきでしょう。

中国に対して友人として助言することは、日本が目指すアジアのリーダー、国連の常任理事国への一歩ではないでしょうか。

チベット問題は言うまでもなく中国とチベットの問題ですが、それと同時に、自由を愛する人々と中国の共産党一党独裁による強権政治への対応は、アジア各国の安全保障、生活の安定と繁栄と強く結びついているように私は思います。

従って、民主主義を誇りとする日本国民と日本国の真意をも問われているように思います。 (了)

※ 『向上』(2008年6月号)より転載

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