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2008年6月28日 (土)

国 日本は国家として機能しているでしょうか (下)

 タシさんは「ダライ・ラマ万歳」と叫んだ所、は中国の若者たちは「ダライ・ラマきちがい」と罵声を浴びせたそうです。尊敬して止まない法王をそのように誹諺されて、彼は逆上して聖火ランナーに飛びつこうとした、と言っていました。彼は卓球の愛さんが親中派であることも、後に胡錦涛と卓球の試合をするほど重宝がられていることも知らなかったそうです。しかし彼は業務妨害という罪で逮捕され、二十日間拘留された上、五十万円の罰金が課されました。多くのチベット人にとって五十万円は年収を遣かに超える金額であり、大変重い負担です。今回は幸いにして日本の有志の方々の善意でこれをまかなうことができましたが、この裁判官は弱者の立場も国際感覚も持っていないように思いました。

 日本の法律を侵し秩序を乱したことに対しての懲罰は当然受けなければならないし、タシさんは日本政府と日本国民にご迷惑をかけたことを含めて、深く謝罪したいと言っていました。私も同感です。しかし今回の一連の対応の仕方に、私が大きな不満と不安を抱いているのです。

 それは、第一に中国側に対して何のお咎めもないことが不公平であり、正義に反すると思うからです。第二に日本政府は中国だけに斬り捨て御免のような治外法権的免除を与えることは、日本国の国家の権威に関わる問題であり、主権の放棄であるように思うからです。日本がまるで中国の属国のように振る舞うことは、一時的な友好ムードを作るために効果はあるのかもしれませんが、子孫に対しても大きな汚点であり、独立国家としてはあってはならないことです。

 聖火リレーに続き、胡錦涛の訪問時に国家権力の象徴とも言うべき警察をあれだけ動員して中国のご機嫌取りをして友好ムードを演出したにも関わらず、内閣の支持率がさらに下がったということは、幸いにして大部分の方が私と同じような不安と不満を持っているからではないでしょうか。国民が冷静な判断力を失っていないことだけは救いであり、この世論調査に現れている数字を政治家たちは深刻に受け止め、行政に反映させるような形で、今後、国の立て直しを急務として最優先しなければ、この国の形そのものが危うくなるのではないでしょうか。

 行政機関の現場の人々は忠実に命令に従い、その命令を実行する以外の選択は許されていません。同様に政治家は忠実に国益を最重視し、国家の主権を守り、時と場合によっては毅然とした態度を取ることが一番の責務であり、私利私欲や党利党略のために自国の主権を放棄する、或いは売り渡すような行為は許してはなりません。また正義を守る立場の裁判官は、政治に左右されるのではなく、あくまでも法に照らし弱者の立場を汲み取り、声なき声を聞いた上で足して二で割るような公平さではなく、相対性に立った正義を行うことが大切です。

 私は隣の国のような極端な愛国教育は必要ないと思いますが、国民も政治家も「国家とは何か」という意識だけはしっかり持つ必要があります。日本国憲法に定められているように主権在民である以上、国民がしっかりと主権を守る意識を持って三権分立が機能しているか、政府は国益を追求し国益を守ろうとしているか、立法府は国民の目と耳と声を代行して充分に機能しているか、そして司法が公正に執行されているかを、常に見守る必要があるように思うのです。 (了)

※『向上』(2008年7月号)より転載。

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