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2008年7月

2008年7月31日 (木)

携帯電話文化と若者 (上)

 先日、通勤電車で聞いた、私の隣のおばあさんとその隣の若い男性の会話です。

 おばあさんは怒ったような声で「その電話をしまいなさい。私は心臓にぺースメーカーをつけてるのだから」と言いました。すると若者は「しやべっていない」と言って反論しました。しかしおばあさんは「しゃべっていなくても、電波が悪いのです」と、さらに興奮気味に言い返しました。そこで私も、この若者に一言言わなければと体をそちらに向けたら、その若者は不機嫌そうな顔をしつつ携帯の電源を切りました。

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 正直に申し上げて、私は若者がしていることが本当に間違っているのか、そのおばあさんが神経質過ぎるのか良くわかりません。ただ以前から電車内で携帯電話を開いている人のメールを打つ親指のスピードを見て、この人たちの子孫は親指が大きくなったりするのではないかと思ったりしていました。

 車内放送や中吊り広告は、確かに「通話をやめてください」と表示していますが、それはマナーモードに切り替えれば電源は入っていても良いように受け止められても仕方のない表現です。はっきり申し上げて、私は車内広告や放送にも問題があるように思います。

 同様に電車がまだかなりのスピードで走っている時に、次に止まる駅の名前やプラットフォームを案内しても聞きづらく、意味がないように感じます。むしろそのような放送は減速して停車直前に案内してくれた方が、効果的であるように思います。

 また、携帯電話やデジタルカメラなどの電化製品を買うたびに受け取る、分厚い説明書や資料は無意味のように思い、紙など資源の無駄であり、環境問題でもあるように思うのです。それよりは必要最小限のインストラクションを、より大きい文字で表示した方が実用的で親切です。

 つまり私が言いたいことは、公共設備の利用や機械類の使用に関しては、利用者の立場よりも、マニアックな人々を満足させるのに懸命になっていると同時に、自分たちの責任だけ果たそうとする意志が先に働いているように思います。

 冒頭に述べた若者からすれば、皆がしていることで何故自分はそのおばあさんから文句を言われるのか納得いかないようでありましたし、実際そのような気持ちになっていたのかもしれません。昔は、ことの善悪は常識で判断していましたが、今はやってはいけないということ以外は全てやって良いと解釈されるような世の中に変わってきています。つまり多くの日本人は、出来事や行いの結果についてまで先に予測したり考えたりするような面倒くさいことは一切無意味だ、と考えているとしか思えません。 (続く)

※ 『向上』(2008年8月号)より転載

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2008年7月30日 (水)

100人委員会招請の書類について

昨日付けの書類の改訂版を改めてアップいたしました。
シンポジウムの来賓、ならびにパネルディスカッションをお願いした先生方のお名前を記してあります。

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2008年7月29日 (火)

会員申込書

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Member02


















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ご参画のお願い

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発足記念シンポジウム開催案内

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Invitation


















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2008年7月13日 (日)

中国崩壊寸前! 対談 石平×ペマ・ギャルポ (4)

不動産価値が半分に!

編集部 そこでどうなるわけですか。

石平 一つの心理的影響がありまして、投機をやっている人が、不動産を売りに出す。「南方週末報」という広州で出している新聞が、不動産バブルについてかなり長い論文を出した。その結論は、中国の不動産はもう下がる、曲がり角を過ぎたというものです。
 これからは少なくとも四〇%下がると予測している。四〇%下がるというのはまさにバブル崩壊ですよ。そのあとの情報では、上海の賃貸契約が、前月と比べると、半分以下だそうです。つまり五〇%も落ちた。

ペマ すごい数字ですね。

石平 問題はバブルが崩壊した後ですよ。例えば、食料はどうなるのか。今、インフレが進行しているでしょ。インフレは工業製品じゃなくて、むしろ、穀物、食品の方に来ています。だいたい八%の上昇率です。
 バブルの崩壊で、金持ちの資産が一気になくなります。そして、インフレの高進で貧乏人がご飯を食べられなくなる。そうなれば、社会的不安が大きくなる。まさに、崔大使が言っているように、今までよりもつと激しい変化が起きると思います。
 その時、利用されるのは日本です。胡錦濤たちがやっている対日融和政策の裏づけになりますが、中国は日本に助けてもらうつもりなんですよ。もちろん、そういう場合でも、中国は、日本人に「援助させて頂きます」と言わせるんですよ。

ペマ 本当は、援助する時に中国の民主化を条件にすればいいんですがね。

石平 そうですよ。まず、援助を求めてきたら、一回の援助の代わりに南京大虐殺記念館を閉館しろという。二回目の援助では、中国の教科書の記述を変えてもらう。三回目は民主化、そして、四回目は連邦制……。胡錦濤が、今演説で何を言うかというと、「この大震災に我々は立ち向かった。そんな我々中国人民はもう、どんな困難でも恐れない」。要するに、これからまた、大変な困難が起きるということですよ。今、胡錦濤はオリンピックをやるんじゃなかったと後悔してるはずですよ。

編集部 「中国が今度立ち向かう敵は、民意というモンスターなんじやないか」という書き方をしている雑誌もありますが、人民の民意というのは中国の、国内向けの宣伝で統制できる状態にあるんですか?

石平 言論統制はいろんな手を使うんですね。熱心なジャーナリストを消したり、逮捕したりもやる。だから、今回の大地震も最初から最後まで宣伝の舞台になるんです。彼らにとっても、これからの困難を乗り越えるのは、宣伝をもってするしかない状況ですよ。だから、何度もやる。しかし、逆に共産党の宣伝と、民意との問のギャップがますます広がるでしょうね。その限界点に達すると民意が爆発する。
 インフレもあって、みんなの生活が苦しくなっています。バブルの崩壊で、億単位の市民が財産を失います。四川省の被災者たちも救済されない、失業者は、ますますあふれる。今年は、かなりの大学生が就職できないんじゃないかと思います。
 そうでありながら、宣伝はまだ「我が中国共産党は、素晴らしい、この国はいかに繁栄しているか」ということばかり言うので、どこかで、臨界点が来るんです。いつ来るかわからない。今の中国の情勢は、宣伝でかろうじてもっているということです。すぐ倒れそうな建物を、かろうじて、修繕してるだけの話です。
 宣伝と民意のギャップがそれ以上維持できなくなった時点で、中国は爆発するでしょうね。

ナショナリズムしかない

ペマ でも、一回、狂信的な政府が出来て、今よりも更に、独裁的になるということは、一九六〇年代の中国みたいな感じに戻るということですよね。

石平 要するに、共産党の生存本能でしょう。最後は、自分たちを守るためにね。

ペマ じゃあ、そうなった時に、それをぶち壊すきっかけというのは、どこにあるんですか。

石平 ぐちゃぐちゃになった最後に、この国をまとめるのはナショナリズムです。要するに、ナショナリズムさえ出せば、サンフランシスコから長野まで、海外の中国人をまとめられた。ナショナリズムを出せば、国内の中国人だけじゃなくて、日本の中国人留学生まで、みんなそれでまとまるんです。あの紅い旗の下に団結したんです。最後の切り札はこれしかない。

編集部 じゃあ、また日本が責められますね。

石平 当然でしょう。それしかありません。もし、崔大使が言っている「今までにない激しい変化」が起きた時には、恐らく、ナショナリズムとファシズムが台頭しますよ。結局、彼らはナショナリズムを高めるしかない。しかし、ナショナリズムを余りにも高めると、逆にこれは外に向かって爆発するしかないんです。外に向かって爆発すると、二つの可能性がある。成功するか失敗するかですね。恐らく、まず台湾を攻めに行くんですよ。
 ですが、後はその結果次第です。台湾を見事に取れたら、中国共産党政権は、まだ五十年続きます。彼らにとって、歴史的な勝利、それだけでも、中国人民が、「ハハーッ」ですよ。いくら、経済が崩壊した後でも、みんなをまとめられます。
 でも、もし、これで失敗する、あるいは、最初から、成功する見込みがないという環境を周辺国が作っておけば、それが、ペマ先生が期待されている、内部の改革につながると思います。でも、そのような環境を周辺国が作れるでしょうか? 問題は、アメリカと日本です。ただ、日本が、中国の一少佐によって振り回されるような状況では、ちょっと無理です。

ペマ 先生も私も、中国が連邦制になるのを望んでいます。今、私は中国国民ではないですけど、望んでいます。私とペマさんの望みが叶う条件の一つは、日本が、もっとしっかりすることです。ですから、チベットや中国がよくなるためにも、日本にもっとしっかりしてもらいたい。 (了)

※ 『WiLL』(2008年8月号)より転載

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2008年7月12日 (土)

中国崩壊寸前! 対談 石平×ペマ・ギャルポ (3)

中国にひれ伏す日本政府

石平 今回、これが中国の少佐じゃなくてミャンマーの少佐だったら、日本政府はすぐには動いていませんよ。日本では、中国といったら、みんながもう「ハハーッ」という感じです。日本政府にとって、中国は「中国様」ですよ。ですから、一少佐のひと言でも、ありがたく、ありがたくいただく……もう国家の体をなしてないですよ。
 一方、中国は、国内のいろんな反発があって、まずいと思った途端に、日本政府の立場を、完全に無視した。「要請はなかったのにお前たちが勝手にやってる」と。要するに、いつも、徹底的に馬鹿にされるのは日本の方なんですよ。
 でも、一番悪いのは、中国の代弁者になっている日本のマスコミです。日本のマスコミというのは、昔、平手打ちをされていた人間が、ある日、平手打ちされなくなったことに感激するようなことをやっている。つまり、馬鹿にされながら感激する、というのが、日本のマスコミです。「昔、十回くらい平手打ちされたが、今回は一回だけ、おお、うれしい」。情けないですね。しかも、中国政府はね、今回の自衛隊派遣の件で日本のマスコミを批判する時は、まず朝日新聞を挙げて批判する。朝日が変な報道したからこうなったとね。

ペマ 産経なんかは、批判しても動かないけど、朝日はちょっと批判しただけでビビって、すぐ報道してくれますからね。

石平 そうそう。読売、産経、朝日、など日本の媒体が自衛隊機のことで大騒ぎしているが、これは事実無根であって、我々は関係ない、と。朝日も悔しいでしょう。ご主人様からムチで打たれちゃって。いつもあれだけ一生懸命中国を褒め讃えているのに。

高まるチベットの不満

編集部 日本の新聞でパタッと報道が止まったチベットは今どんな状況なんでしょうか。

ペマ 一時的な現象として、地震の方に関心が移ってしまったけれども、こちら側に入って来る情報では、地震の間でも、チベットでデモはあったらしいですよ。民衆の反感は、むしろ増していると思いますね。
 そして、どさくさ紛れに、チョモランマも登ったでしょ。あれも、中国人は高い所に登れないから、現地で募集したら、チベット青年会議から戻った青年二人が入って来て、捕まってしまった。そして、チベットの聖火リレーは、結局ラサだけで終わって切り上げちゃった。要するに不成功です。
 もし、今回、ナパ周辺のチベット地域に対しての明らかな差別というものが、世界中にもっとわかるようになれば、いよいよ批判は高まると思いますよ。それと、サプリメントやクスリとかでも、日本では検査等で通らないものを、ウイグルとかチベットで作らせている事が、これをきっかけに表に出てくるんじゃないかと思います。

編集部 それは、日本に輸入されているんですか?

ペマ テレビショッピングなんかで、売ってますよ。ウイグルには日本の大手製薬会社が進出しています。最近はみんな、中国の食べ物なんかは買わないのに、中国のサプリメントには無警戒です。
 チベットとウイグルの国境の子供たちには、血痰(?)が沢山出るようになって、びっくりするようなこともあったんですよ。

編集部 胡錦濤が日本にやってくる前に、チベットと一回目の対話をしましたけど、その後どうですか?

ペマ 当初、中旬に対話すると言うことだったんですけれども、地震で、少し遅らせて、今月中に第二回目の対話をする、ということです。チベット亡命政府も、これは一応意味のあることだと言っています。
 私も、世界の人たちにチベット問題に関心を持ち続けてもらうという意味では、対話する意味はあると思いますね。ダライ・ラマ法王は、この前捕まった千人以上の人たちの釈放と、負傷した人たちに対する医療を継続的に要求していくということを仰っているようです。
 それから、一部のマスコミでは、法王がオリンピックに招待されるんじゃないかということだったんですけれども、余りにも時間が短すぎるんで、それは、ないんじゃないでしょうか。

石平 中国政府の中で、そういう提案があったとしても、恐らく自衛隊機と同じでたちまち潰されるでしょうね。

“狼”を五輪に呼べるのか

ペマ 実は、向こう側は脈を見ている。今回、ダライ・ラマ法王の甥ごさんに向こう側から話があったことを、甥ごさんがマスコミ相手にしやべってる。甥ごさんにそういうことを言った人は、中央民族委員会の副主席かそのレベルの人ですから、これは、中国は脈を見ていると思うんですよ。世論がどういう反応を示すか、チベットはどう反応するか、で、それによって、自分たちは、何を得するか。」応そういう球を投げて大きなニュースにして、世論に対して脈を見てやろうという、その程度だと思います。

石平 それは、実現できないでしょうね。チベットの鎮圧をやったのは、三月。四月の時点で、中共はダライ・ラマは「狼の皮を被った悪者、一番の黒幕、一番悪い奴」と、宣伝機関を通して毎日非難した。なのに八月に法王様が北京にいらっしゃるなんてことは出来ない。あれは、最初にダライ・ラマ法王を「黒幕」だと糾弾した時点で、対話の道は完全に閉ざされたんですよ。
 今度、胡錦濤がいくら対話したくても、中国人民にはもう説明できない。人民は「あいつは狼だろう、狼が北京オリンピックに来た」と言い立てますよ。中国共産党は、ダライ・ラマ法王という世界的に尊敬されている指導者、宗教家をあんな風に最初に罵ってしまい、大失敗しましたね。

ペマ 人民日報とか、新華社までがやってしまってるでしょう。世界の世論に対しては、対話をしているということを言っても、実際は、鵜飼の鵜の首を絞めてるのと同じですね。

石平 恐らく、対話の姿勢は、オリンピックまででしょうね。オリンピックが終わってから、中国政府が対面するのはチベット問題だけじゃないですよ。チベットも一つの爆弾、四川大地震から発生した問題、一千万単位で、家が潰れて、家に帰れない人々、不便な生活を余儀なくされている人々、子供を亡くした親たち、みんな黙っていられないですよ。これから、いろんな動きが出てくる。
 六月一日、田原総一朗さんの番組、テレビ朝日のサンデープロジェクトに崔天凱駐日大使が出てました。最後に、彼が言ったことがすごく面白い。「中国は改革政策から、三十年が経過したことで、様々な変化を遂げてきており、今は、これまでなかったようなことが起きている。今後、予測不可能なもっと激しい変化がおこり、多くの困難や問題に直面するだろう」
 かなり、正直に言っていた。僕が見た中国政府関係者であそこまで率直に言った人はいません。そういう意味では、崔大使は誠実な人だと評価してもいいと思います。要するに、内部も危機感を持っているんですよ。

ペマ 予測不可能な激しいことが起こるということは、どういうことでしょう。

石平今の状況だと、オリンピック後、まず経済的困難が出てきます。バブル経済が崩壊して、そこから連動し、社会的困難、そして政治的問題が出てくる。
 震災後、「中国青年報」という新聞の五月二十九日号に、「今回の大地震が、不動産バブルに致命的なとどめを刺すことになるだろう」ということが書かれていた。
 今の中国で、不動産をやっている投機目的の人は、不動産の価値が永遠に下がることがないと思っている。それが、今度の地震で「そうじゃない、地震が一回起きたら、不動産の価値はもうなくなるんだ」とみんながわかった。 (続く)

※ 『WiLL』(2008年8月号)より転載

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2008年7月11日 (金)

中国崩壊寸前! 対談 石平×ペマ・ギャルポ (2)

胡錦濤主席、空白の三日間

ペマ 援助物資も、最初は幹部などの偉い人たちの方で、「再分配するから、こっちによこせ」といって、取ってしまう。それに対してマスコミが疑問を呈したら、すぐに十何人逮捕されました。「こいつらが泥棒しているから、我々が管理しなければならないんだ」というわけです。そして、逮捕された人たちを、わざと町のまん中に行列させて歩かせたという話まであります。
 それを、外国の記者に取材させて、「当局は、これだけ治安を維持している」とアピールするために使ったということです。

石平 これも日本のメディアは報じていませんが、胡錦濤国家主席は十二日の大地震発生後、十六日に現地入りするまで公の場に出ていません。地震発生後、数時間で温家宝首相が現地入りしたのとは対照的です。
 この胡錦濤国家主席の空白の三日間は何を意味するのか、調査が必要だと思っています。

ペマ 私は陽動作戦だと思いますね。温家宝首相を現地に派遣することで、そこに人民や諸外国のメディアの目を釘付けにする必要があったのでしょう。被災現場に目が向いているうちに、胡錦濤国家主席は核関連施設などの事後対策、メディア対策を協議し、指示する必要があったのではないでしょうか。

石平 温首相は現地で陣頭指揮を執ったため、今では「温じいさん」と人民に大人気ですが、実は何の役にも立っていません。温首相が現場ですることなど何もない。本来ならば本部で指揮を執ることをこそすべきです。しかし、毎日のように現地の激励に派遣された。
「温じいさん」はまたその役をこなすのが上手い(笑)。来日した時も「氷を溶かす旅」と名付けて、非常に気持ちの悪い笑顔を見せていましたが、今回の四川では「涙の女王」気取りです。子供たちに手を差し伸べ、被災者に涙を流してみせる〃演技力"はすごい。全てが芝居がかっています。

編集部 中国政府が今回、日本に向かって、「悪口を言うな」といったことは聞いていますか?

ペマ 今回、メディアに向かって、直接そういうことはないと思います。今、そんな事をすると、かえって中国に不利になってしまう。ただし、中国は、日頃から付き合いのある、特定のコメンテーターや評論家に対しては、いろいろ働きかけをしているようです。
 ある日本の国際政治学者は、中国と友好関係のある日本の企業の広報誌に「チベットには何の問題もない。中国が、チベットに道路も作ってやって、こんな幸せなことはない」と書いている。明らかに工作を受けていますね。また、影響力の強い著名なテレビキャスターに対しても、特別指定で工作をしています。

石平 チベットの時と違い、今回はすぐに外国の報道機関を受け入れましたが、それも表向きだけなんです。実際は、情報の操作をちゃんとやっている。日本の救援隊を、一番活躍できる地震発生から七十二時間の間、活動させなかったのもその一つ。日本の救援隊が行って、人民解放軍よりも先に、子どもとかを助ける映像は絶対に流して欲しくないわけです。
 だから、中国人民解放軍が子どもを助ける映像をいやというほど流し、その後で、日本の救援隊に、どうぞと言ったんです。しかも、日本の救援隊が行かされた所は、人の命を救えないところです。日本の救援隊が中国の子どもを一人でも救う映像は流させたくないのです。せっかく行ったのに、やったことは亡くなった人の遺体の収容だけですよ。
 しかし、日本のマスコミもおかしい。その中国のやってることに、感心してる。日本が助けに行ってるのに、入れてもらってありがとう、なんて。

ペマ なぜ、日本の医療隊に、日本隊ならではの活動をさせないのか。

石平 まあ、医療団の受け入れも、胡錦濤の対日戦略の一つとして、医療団も一応入れたほうがいいというだけの話じゃないでしょうか。胡錦濤は中国国内向けに、自分が日本に行った後、日本とこんなにいい関係になったよということを示すためのものでしょう。本来ならば、人命の救助が大事ですから、そんな思惑を全部外して、とにかく、どこでも、外国の救援隊を受け入れなくてはいけない。人民解放軍は、実は、救援には向いてないんですよ。あれは、戦闘訓練を受けてるだけなんです。救援というのは、瓦礫の中から、生きてる人を引っ張り出すんですから、非常にデリケートなもので、専門技術が必要です。人民解放軍はチベットで人を殺してるように、殺すことは得意ですけど、人命救助は下手ですよ。

馬鹿にされたのは日本だけ

編集部 自衛隊機の派遣の話がありましたが、すぐにクレームがついて、民間機になった。

石平 確かに、要請はあったんでしょう。情報をまとめてみると、中国の軍人、少佐クラスが日本大使館に現れて「救援物資を至急送って頂きたい。自衛隊機でもいい」ということを言ったんです。少佐のレベルですよ。
 じゃあ、なぜ少佐のレベルが言ってきたか。これは、胡錦濤たちの思惑、彼らにとっても、リスクはありますから、わざと低い地位の人間に言わせて、日本国内の反応と、中国国内の反応を見るということがあったのだと思います。胡錦濤は、対日友好政策の成果を出したいのですが、同時にこれは危険でもある。中国政府として、公式に発言したらもう引けなくなります。だから、わざわざ、目立たない人物を派遣して、あとの反応を見たんです。泥棒みたいにこそこそやったわけです。
 しかし、それで、日本政府がすぐ動いた。マスコミもすぐ報道した。しかし、中国国内で反発が出たので、胡錦濤はすぐ引きました。一少佐のひと言で、日本政府が動いたんですから。結果的に馬鹿にされたのは日本だけだということです。こういうやり方は卑劣ですよ。

ペマ 僕は大学の研究室でニュースを見て、その後二時四十分から授業があったんですよ。その授業で、こう言ったんですよ。
「今日は、非常に歴史的な日になるかもしれない。中国政府は今までは自衛隊の存在そのものを、軍国主義の再復活だということで、いつも批判してきた。それなのに中国政府は日本の自衛隊を肯定的に見た。自衛隊機を中国に入れるらしい。だけど、私は、これは問題だと思う。何故ならば、次に、中国の軍隊も日本に入れなきゃならなくことになるからです」
 でも、幸いにして、実際には行かなかったから良かったと思いますよ。

石平 中国政府のこのレベルの、一武官の話でも、日本政府は、まるで神様の命令であるかのように行動している。情けないですね。仮にも日本は独立国家ですよ。しかし、実態は、四川省の地方役所に成り下がったようなものです。一武官のひと言で日本の官房長官から総理大臣から全部振り回されたんです。日本政府の体質と対中政策の危うさを端的に露呈させたと思います。対中国では、日本は、もう国家じゃないですよ。

ペマ それは、日本の危機管理がしっかりしていないからです。こういう問題が起きた時に、まずその話の信愚性を確認するとか、きちんとした手順がまったく踏まれていないんです。要請があったからといって、すぐ派遣するということには、普通ならないわけですよ。外務省、防衛省、内閣府、この三つがどの段階で、どういう決定をして、どう実行するかという手続もちゃんとしてない。日本政府そのものの未熟さを露呈したようなものです。 (続く)

※ 『WiLL』(2008年8月号)より転載

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2008年7月10日 (木)

中国崩壊寸前! 対談 石平×ペマ・ギャルポ (1)

胡錦涛は後悔している 
「北京五輪なんかやるんじゃなかった」

編集部 今回の四川地震でチベット問題もかすんでしまった感があります。

ペマ・ギャルポ(以下、ペマ) 今回の地震の震源地の町は、ナパというチベット人、チャン人などの自治区なんです。その点を中国はほとんど報道してません。報道していないのは差別なんじゃないかと思います。
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 報道していないもう一つの理由は、近くに核の施設があるからでしょう。それから、このあたりは資源が豊かで、水が豊富なので、日本の製薬会社も含めて、日本では許可が下りない薬の製薬会社があります。
 後からチベット人が行って分かったことですが、チベット地域は比較的、被害が少ないんですよ。もちろん、家が壊れたり、家畜が死んだりはしていますけど、人間があんまり死んでいない。その理由は、中国人が後から入ってきた所は、役人が国家の予算でやっているから、建物とかが、ちゃちなんですね。チベット人は、昔から自分たちが住んでいるから、家がしっかりしている。それから、あまり密集してない。被害が拡大したのは、人災的要素も多いんじゃないかと思います。

石平 私は四川省出身です。電話で聞くと、いま現地では、色々疑惑が曝かれています。一つは、中国政府があらかじめ、あの辺で大地震が起こるという予測を専門家から受けとっていたという疑惑です。根拠としては、地震の二日後の五月十四日に、中国放送局が放送している海外向けの英語番組の中で、中国物理学会の天災予想専門委員会の顧問、陳一文さんが実名で出て、こう言っている。

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「中国地震局は嘘をついている。我々は予測した。日にちまでは特定できないが、近く汶川県の周辺で大地震が起きるという報告を、何回も中央政府に出したのに、完全に無視された」
 英語番組は、普段から当局の関心が届いてないところですから、こういう発言がそのまま流されても不思議ではないんです。
 報告を受け取った時に温家宝首相は、情報の公開を主張したんですが、胡錦濤国家主席は、社会的安定とオリンピックの成功を考えて、無視したようです。
 地震が起きた当日の動きも変だった。温家宝は地震発生の二時間後の午後四時に被災地に行く飛行機に乗っている。しかも、機内で会議をやっている。どう考えても早すぎます。ふつう、地震が起きてから、総理大臣に情報が上ってくるまでに数時間はかかる。事前に知っていたんじゃないかと言われています。

編集部 予測を知っていたという具体的な証拠はあるんでしょうか。

石平 中国科学エンジニアリング地質力学重点実験室の研究員も当日の自分のブログに、「地震予報専門家は今回の大地震を予報したが、無視された」という事を書いている。
 さらに、地震の後に発行された、広州の「南方工報」という新聞に、四川省・綿竹出身の趙さんという出稼ぎ労働者が綿竹に残っている小学生の息子が心配になって色々確認したら、息子の担任から電話をもらった。
 その担任の話によると、地震発生の一時間前、緊急の通知をもらって、小学生たちをみんな、外に避難させたという。つまり、現地では、軍関係と、核施設だけが、事前に知らされたという風に言われているんです。
 中国は、これで、大きな爆弾を一つ抱えることになった。恐らく、この地震で犠牲者は十万人規模になると思うけど、問題は、子どもたちが多いこと。その親たちが黙っていないですよ。

ペマ 犠牲者に子供たちが多いというのは大きな問題ですね。

人命より宣伝優先

石平 それから、私が今回の地震で中国共産党の体質を感じたのは、十二日に地震が起こって、本格的な救助活動が始まったのは、翌十三日の朝方ですが、十二日の夜に、まず宣伝会議をやっていることです。中国共産党政治局の常務委員で、宣伝担当の李長春が報道関係者を集めて、今回の地震報道では、方針に従って報道するように、ということを言っている。
 どういう方針かというと、「わが党と人民解放軍が、いかに、人民の命を優先し、勇敢に救ったかを中心に報道しろ」ということなのです。当局は、救援じゃなく、まず宣伝の方を考えたわけです。そこから、今も続く共産党賛美・人民解放軍賛美の報道がある。実際、これによってチベット問題はもみ消された。世界中で、チベット問題への関心が薄れたんじゃないでしょうか?

ペマ 確かにそうですね。まあ、一時的なことかも知れませんけれども。それだけじゃなくて、今回は、外国の救援隊も入っていますが、彼らが感じたことは、とにかく、中国の当局は、カメラがあるところとか、マスコミがいるところでは、一生懸命救援活動をする。しかし、カメラが行ってないところは放置されているということです。

石平 そうですよ。例えば、温家宝が視察しているところでは、一生懸命救助する。瓦礫の下から懸命に人を掘り出すわけです。とにかく、まず、温家宝が行くところを、救助する。温家宝は援助物資を一杯持って視察に行くんですね。そうすると、彼が去った後、救援物資の奪い合いになる。 (続く)

※ 『WiLL』(2008年8月号)より転載

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2008年7月 8日 (火)

福田首相よ、洞爺湖サミットでこう言え!

チベット問題は現代国際社会の縮図です

 福田首相に対してお願いしたいことは、まず何よりも議長国として体力と精神力が相当消耗すると思うので、健康に留意し、できれぱ数日間お寺にでも籠もってゆっくりと瞑想し、ご自分の精神と肉体を最高の状態にしてサミットに臨んで欲しい。

 最近、日本の総理大臣でも、安全保障や国際問題、経済などについての顧問、メディアコンサルタントなどは持っていることもあるようだが、精神的な支えとなる顧問はお持ちでないようだ。私が知る限り福田赴夫元首相は田中角栄氏に敗れてから都内の禅寺で数日間過ごされ、ご自分を見つめ直し、元気を取り戻したようで玄この際、高僧など真の宗教家を正式に首相顧問に招き、精神性を高め首脳会議に臨まれると成功率も高いのではないかと思う。そして首脳会議が始まったら周囲が動くのを待つのではなく、ご自分がリードする気迫と積極性を持って主張する新しい日本を印象づけてもらいたい。

 今世界の共通の課題として、人権、環境、資源、そして平和と戦争の問題などがある。これらの問題に対し、アメリカやヨーロッパの国々は積極的に働きかけをしている。一方、中国やロシアは加害者の立場でこれらつ問題を極力避け、経済問題だけに、力を注ぐ姿勢を見せるだろう。

 その中で、チベット問題は前に述べた現代社会が抱える問題全てを凝縮したようなものである。福田首相がチベット問題について充分に勉強して臨まれることは日本国の国益にとっても重要であり、チャンスでもあると思う。特に人権問題として、未だに監禁状態にある本物のパンチェン・ラマ十一世を始め、政治犯の解放と釈放を訴えてもらいたい。さらに、中国がダライ・ラマ法王と誠意ある対話を通して真の自治が実現するよう要求して欲しい。チベットにおいてダライ・ラマ法王が望むような真の自治を確立するためには、その基本である民族自決権をも含む連邦制の実現のための民主的な憲法改正を促すベきである。

 現在アジアの独裁国家、ビルマしかり、北朝鮮しかり、その後ろ盾となっているのは中国である。そのことを明確にアピールし、核の拡散に対しても中国の関わりを厳しくチェックする構えを示すことができれば、「主張する日本外交」の姿が明白になり、参加国の賛同をえるばかりか、常に中国の覇権主義に悩まされているアジア諸国からも尊敬されるであろう。

 さらには、日本は中国、インドと肩を並べるアジア地域のリーダーとしての自覚と覚悟を示すことによってロシアを牽制し、アメリカに対しても日本が属国でないことを意識させることができよう。ジェントルマンぶりを発揮する一方で、福田さんならではの真の強さを示し、小渕恵三元首相くらいの粘り強さを印象づけてもらいたい。

 二十一世紀に、新しい日本が世界に充分に存在感を示すことを、心から祈り、工ールを送りたい。

※ 文藝春秋「諸君」(2008年8月号)より転載

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