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2008年7月11日 (金)

中国崩壊寸前! 対談 石平×ペマ・ギャルポ (2)

胡錦濤主席、空白の三日間

ペマ 援助物資も、最初は幹部などの偉い人たちの方で、「再分配するから、こっちによこせ」といって、取ってしまう。それに対してマスコミが疑問を呈したら、すぐに十何人逮捕されました。「こいつらが泥棒しているから、我々が管理しなければならないんだ」というわけです。そして、逮捕された人たちを、わざと町のまん中に行列させて歩かせたという話まであります。
 それを、外国の記者に取材させて、「当局は、これだけ治安を維持している」とアピールするために使ったということです。

石平 これも日本のメディアは報じていませんが、胡錦濤国家主席は十二日の大地震発生後、十六日に現地入りするまで公の場に出ていません。地震発生後、数時間で温家宝首相が現地入りしたのとは対照的です。
 この胡錦濤国家主席の空白の三日間は何を意味するのか、調査が必要だと思っています。

ペマ 私は陽動作戦だと思いますね。温家宝首相を現地に派遣することで、そこに人民や諸外国のメディアの目を釘付けにする必要があったのでしょう。被災現場に目が向いているうちに、胡錦濤国家主席は核関連施設などの事後対策、メディア対策を協議し、指示する必要があったのではないでしょうか。

石平 温首相は現地で陣頭指揮を執ったため、今では「温じいさん」と人民に大人気ですが、実は何の役にも立っていません。温首相が現場ですることなど何もない。本来ならば本部で指揮を執ることをこそすべきです。しかし、毎日のように現地の激励に派遣された。
「温じいさん」はまたその役をこなすのが上手い(笑)。来日した時も「氷を溶かす旅」と名付けて、非常に気持ちの悪い笑顔を見せていましたが、今回の四川では「涙の女王」気取りです。子供たちに手を差し伸べ、被災者に涙を流してみせる〃演技力"はすごい。全てが芝居がかっています。

編集部 中国政府が今回、日本に向かって、「悪口を言うな」といったことは聞いていますか?

ペマ 今回、メディアに向かって、直接そういうことはないと思います。今、そんな事をすると、かえって中国に不利になってしまう。ただし、中国は、日頃から付き合いのある、特定のコメンテーターや評論家に対しては、いろいろ働きかけをしているようです。
 ある日本の国際政治学者は、中国と友好関係のある日本の企業の広報誌に「チベットには何の問題もない。中国が、チベットに道路も作ってやって、こんな幸せなことはない」と書いている。明らかに工作を受けていますね。また、影響力の強い著名なテレビキャスターに対しても、特別指定で工作をしています。

石平 チベットの時と違い、今回はすぐに外国の報道機関を受け入れましたが、それも表向きだけなんです。実際は、情報の操作をちゃんとやっている。日本の救援隊を、一番活躍できる地震発生から七十二時間の間、活動させなかったのもその一つ。日本の救援隊が行って、人民解放軍よりも先に、子どもとかを助ける映像は絶対に流して欲しくないわけです。
 だから、中国人民解放軍が子どもを助ける映像をいやというほど流し、その後で、日本の救援隊に、どうぞと言ったんです。しかも、日本の救援隊が行かされた所は、人の命を救えないところです。日本の救援隊が中国の子どもを一人でも救う映像は流させたくないのです。せっかく行ったのに、やったことは亡くなった人の遺体の収容だけですよ。
 しかし、日本のマスコミもおかしい。その中国のやってることに、感心してる。日本が助けに行ってるのに、入れてもらってありがとう、なんて。

ペマ なぜ、日本の医療隊に、日本隊ならではの活動をさせないのか。

石平 まあ、医療団の受け入れも、胡錦濤の対日戦略の一つとして、医療団も一応入れたほうがいいというだけの話じゃないでしょうか。胡錦濤は中国国内向けに、自分が日本に行った後、日本とこんなにいい関係になったよということを示すためのものでしょう。本来ならば、人命の救助が大事ですから、そんな思惑を全部外して、とにかく、どこでも、外国の救援隊を受け入れなくてはいけない。人民解放軍は、実は、救援には向いてないんですよ。あれは、戦闘訓練を受けてるだけなんです。救援というのは、瓦礫の中から、生きてる人を引っ張り出すんですから、非常にデリケートなもので、専門技術が必要です。人民解放軍はチベットで人を殺してるように、殺すことは得意ですけど、人命救助は下手ですよ。

馬鹿にされたのは日本だけ

編集部 自衛隊機の派遣の話がありましたが、すぐにクレームがついて、民間機になった。

石平 確かに、要請はあったんでしょう。情報をまとめてみると、中国の軍人、少佐クラスが日本大使館に現れて「救援物資を至急送って頂きたい。自衛隊機でもいい」ということを言ったんです。少佐のレベルですよ。
 じゃあ、なぜ少佐のレベルが言ってきたか。これは、胡錦濤たちの思惑、彼らにとっても、リスクはありますから、わざと低い地位の人間に言わせて、日本国内の反応と、中国国内の反応を見るということがあったのだと思います。胡錦濤は、対日友好政策の成果を出したいのですが、同時にこれは危険でもある。中国政府として、公式に発言したらもう引けなくなります。だから、わざわざ、目立たない人物を派遣して、あとの反応を見たんです。泥棒みたいにこそこそやったわけです。
 しかし、それで、日本政府がすぐ動いた。マスコミもすぐ報道した。しかし、中国国内で反発が出たので、胡錦濤はすぐ引きました。一少佐のひと言で、日本政府が動いたんですから。結果的に馬鹿にされたのは日本だけだということです。こういうやり方は卑劣ですよ。

ペマ 僕は大学の研究室でニュースを見て、その後二時四十分から授業があったんですよ。その授業で、こう言ったんですよ。
「今日は、非常に歴史的な日になるかもしれない。中国政府は今までは自衛隊の存在そのものを、軍国主義の再復活だということで、いつも批判してきた。それなのに中国政府は日本の自衛隊を肯定的に見た。自衛隊機を中国に入れるらしい。だけど、私は、これは問題だと思う。何故ならば、次に、中国の軍隊も日本に入れなきゃならなくことになるからです」
 でも、幸いにして、実際には行かなかったから良かったと思いますよ。

石平 中国政府のこのレベルの、一武官の話でも、日本政府は、まるで神様の命令であるかのように行動している。情けないですね。仮にも日本は独立国家ですよ。しかし、実態は、四川省の地方役所に成り下がったようなものです。一武官のひと言で日本の官房長官から総理大臣から全部振り回されたんです。日本政府の体質と対中政策の危うさを端的に露呈させたと思います。対中国では、日本は、もう国家じゃないですよ。

ペマ それは、日本の危機管理がしっかりしていないからです。こういう問題が起きた時に、まずその話の信愚性を確認するとか、きちんとした手順がまったく踏まれていないんです。要請があったからといって、すぐ派遣するということには、普通ならないわけですよ。外務省、防衛省、内閣府、この三つがどの段階で、どういう決定をして、どう実行するかという手続もちゃんとしてない。日本政府そのものの未熟さを露呈したようなものです。 (続く)

※ 『WiLL』(2008年8月号)より転載

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