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2009年1月22日 (木)

日本を弱くする首相降ろし

救国のため一丸となれ
衆院任期満了まで紳士協定を

 今、世界中が金融危機にどのように対応するかということで苦心しているとき、日本は政治家もマスコミもどのようにして現首相をその座から引きずり下ろすかということに必死になっているように見える。まことに残念である。今こそ私心を捨て私利私欲、党利党略を二の次にして国民全体、与野党関係なく救国に向かって一丸となるべき時期ではないだろうか。新聞報道によると、かつて小泉純一郎氏の下で、まるで破壊の神様に呪われているかのごとく「改革」の名において日本の良き医療制度、社会福祉制度を破壊してきた張本人たちが、今頃になって社会福祉医療制度を改革するなどと言って政治の具に利用し、反総理のグループを結成している。戦後、厳しい社会状況の中で先輩たちが試行錯誤しながら苦しい生活を生き抜いて福祉国家を目指し、作り上げてきた医療制度などをぶち壊すことに生き甲斐を感じていたような政治家たちによる反総理の行動を英雄扱いするマスコミが私には馬鹿馬鹿しく感じる。民主主義もここまで我が儘でめくちゃになると、もはや群衆主義以外の何ものでもないように思う。

 総理大臣が就任して落ち着いて今までの状況を把握し、新たな政策を打ち出すためには最低半年から一年ほどの余裕が与えられて当然ではないだろうか。まして今の様々な問題は殆ど小泉内閣当時のめちゃくちゃなやり方の副産物であって、麻生太郎氏には何の責任もないように思う。麻生太郎氏を自由民主党の総裁に選び、日本国の総理大臣の座に就かせた自由民主党の幹部は勿論のこと、党員は麻生氏を支え、少なくとも国民に対してその政権の下、政治を安定させ、もう一度経済を立て直す責任があるのではないだろうか。

 毎晩ニュースを見る度にコメンテーターたちの皮肉混じりの麻生批判に対しては、自分たちが同一人物に対し、どのような評価と期待を国民に抱かせたかということについても問われるぺきであり、言葉に責任を持って欲しい。

 私は本来日本人は逆境に打ち勝てるだけの智慧と忍耐を持っている民族であると信じている。あの戦争に敗北し、国が廃嘘と化したところからわずか四分の一世紀で少なくとも経済的に国を立て直した。今の日本人もジャパニーズ・ミラクルを成し遂げた先輩たちのDNAを継承しているはずではないだろうか。アジアの殆どの国が列強による植民地化で屈辱的な他民族支配を受けたときも国の近代化を成し遂げ、世界から無視できないような存在にまで近代国家を構築したのは、明治維新の方々の強い決意と結束力、さらに国民全体が共有する国家ビジョン、即ち夢があったからではないだろうか。

 私は今の日本の弱さは、政治家たちの夢が小さすぎ、個々の大臣のポストや党が政権を獲得することぐらいの小さい夢を抱き、バラバラに動いているところに原因があると思う。与党も野党も衆議院の任期満了まで紳士協定を結び、祖国の救済と世界の経済の回復のために協力し合うことが何よりも大切ではないか。

 今のような形で何百万人の雇用の機会を政府が無理に作ったとしても、他方において同じくらいかそれ以上の人間が解雇され、職を奪われ路頭に迷うことになれば、結果は同じであり、これ以上パッチワークのようなその場しのぎの政策をやめ、小沢氏と麻生氏が国のための政策を共に知恵を出し合いグランドビジョンを描けばまだまだ日本は救われる余力は充分に残っていると思う。

 一方、このままお互い私的な小さい欲と名誉のために打算、策略を巡らせていけば日々国の力は低下するばかりで取り返しのつかない方向へ進んでいくに違いない。政治家たちだけではなく世論形成に大きな影響力を持っている評論家やマスコミも政治に対する責任を果たすぺきだ。自らの言論の結果に対して、充分に考慮して発言しなければならず、一時的な受けを狙っての無責任な言動を許せるような状況にはもはや無いということを知るべきではないだろうか。社会の発展のため、建設的な批判は欠かせないものであるが、批判のための批判のような無責任さはもう許されない。

 特に政権政党の幹部と自負する者は民主主義のルールに従って自分たちの公平かつ公正な選挙で選ばれたリーダーに対し、協力することはモラル・オブリゲーションであることを再認識すべきである。麻生総理はこのような状況を踏まえ危機管理内閣として今の状況を乗り越えるため、野党の中の人材にまで協力を要請し、次の選挙を意識せずに正しいと思うことを思い切って実行し、最後に国民にその判断を委ねることにすればよいのではないか。

 私は総理自ら週に一回五分から十分の時間を作り、自分の口から国民に状況を説明し、国民に自分の政策を説明することさえすれば国民は理解してくれると思う。麻生総理にはマスコミが誘導する世論など気にせず自分自身が誠心誠意を尽くし、勇気をもって国民を信じて適進して欲しいと一国民として切望している。

※『世界日報』(2008年12月25日付)より転載。

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