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2009年2月26日 (木)

運命共同体(上)

 今、世界中は百年に一度の大危機と騒いでいるのはご存じの通りです。正直に申し上げて百年前に今のような大危機があったかどうかはっきりわかりませんが、恐らく第二次大戦前の世界大恐慌を指しているのでしょう。しかし私の浅学では当時、大恐慌は主にアメリカやヨーロッパを襲ったのであって、今回のように世界の隅々まで影響を及ぼしたとは思いません。

123_2  私は経済学者でも歴史学者でもありませんが、少なくとも今回の大危機は人的災害であり、その一番の要因は「欲」であるように思うのです。

 ソ連崩壊、中国の行き詰まりなどいわゆる共産主義の自滅とともに、自由経済が奨励され、自由市場の拡大に励み、誰もが自由競争によって金持ちになれるような幻覚を抱きました。そして一部のエキスパートと言われる人々はマネーゲームなるものを展開し、「欲」に駆られた多くの人々がそれに夢中になりました。自由経済の名の下に、大企業や大会社がどんどん小さいものを吸収・合併し、銀行なども統合されてしまい、自由の名の下にある種の経済的帝国主義が生まれるのを許してしまいました。

 その結果、企業や会社は商業において社会性やモラルを無視し、ひたすら利益と拡張のみを望むようになっていたのではないでしょうか。

 私自身まだ未熟で、日本という社会を完全に理解しきれていないかもしれませんが、かつて日本の会社や経営者は極めて高度な倫理と社会性を持って企業活動をしていたように思います。ところが近年、グローバライゼーションを信仰し、国際化を方便として、企業が利益のみを追求し、低賃金・ローコストを求めるアメリカ的手法で社員の首を切り、出来るだけフリーターや契約社員に切り替えていったのです。

 アメリカにおいても日本においても、先々のことに対して不安の要因が見えても、「経済は自ら問題を解決する」という経済万能主義を信じて手を打たず、ただがむしゃらに膨張のために前進した結果、現在のように手の施しようのないほどに問題が深刻化したのではないでしょうか。

 しかも悪いことに、その当事者たちは早々と逃亡してしまって、それを信じてゲームに夢中になった中間層及び成金の人々が大きな痛手を被っているのは言うまでもありません。しかし、ここでも一番の被害者は、弱者であり最貧困層の人々であるように思うのです。中国の山奥の人々までもが、出稼ぎ先で職を失い、現金収入が断たれているのです。

 私は、今年の年始は在宅しテレビをよく見ました。正月三が日のニュースやラジオでは繰り返し日比谷公園の派遣村について報道し、そこに駆けつけた政治家や著名な経済学者などが色々とコメントをしていました。私には、そうした政家や、自分には全く責任のないような論評をしていた経済学者のコメントが、非常に白々しく聞こえました。

 なぜならば十年ほど前、日本がパートタイマーを導入し、簡単に正社員のクビ切りも可能にした時に、この経済学者や慰間に来ていた政治家たちこそが、グローバル化時代に生きるためにアメリカ的自由競争経済を作り、日本の終身雇用制や年功序列を打破しさえすれば世の中が豊かで自由になる、といった論調を誇らしげに展開していたからです。

 自ら難民となりアジアの多くの国々が「赤化」しているのを目の当たりにしていた私は、当時、日本の良い制度を守って欲しいと精一杯訴えましたが、焼け石に水で、異端視さえされ、時代遅れのように扱われました。 (続く)

※『向上』(2009年3月号より転載)

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