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2009年3月30日 (月)

中国建国60年目、天安門20年目の憂鬱 対談 石平×ペマ・ギャルポ (2)

袋小路に陥った中国

ペマ チベット問題にしても、中国は話し合うための話し合いを続け、最終的にどうしたいか提案しろと要望してきたにもかかわらず、「ダライ・ラマ法王をチベットの代表だと認めていない」と話を振り出しに戻した。Ph03_3 つまり、中国が決断しなければならないところに来ていたにもかかわらず、開き直ったわけです。これはおそらく、今の指導部では誰も決断できないからでしょう 。

石 そう、中国が手のひらを返したのは決断できないからです。なぜ決断できないかと言えば、指導部は国内の安定を維持するのに精一杯で、チベット問題にまで手が回らない。それを表す一つのエピソードを紹介しておきます。正月の前に田舎に帰る人たちの民族大移動がありますが、その時期は毎年だいたい列車のチケットが手に入りにくい。そこで今年、胡錦濤は何をしたか。チケット売り場に、みんなの手にチケットが行き渡るように改善してくださいという指示を出したのです。最高指導者がですよ! こんなことは本来、日本で言えば国土交通省の課長クラスの仕事ですよ。

ペマ もう一つは、たぶん動物を檻に閉じこめるように、人民を田舎に閉じこめようという作戦でしょう。不思議なもので、田舎にいると人間はあまり暴れない。ですからとにかく、都会から出してしまおうということでしょう。

石 それはあるでしょうね。

ペマ でも田舎に帰ったからといって、職はありません。先祖代々の土地を耕すという、それさえ出来ない。

石 土地を取り上げられてしまいましたからね。確かに、耕す土地がない、生活基盤を破壊されたということもありますが、もう一つ、彼らはもう昔の生活には戻れないということもあります。人間はいったん現代文明を見てしまったら、昔の生活には戻れません。

ペマ そもそも、「金持ちになれる人から金持ちになればいい」という理念で出発してますから、今の状況は当然といえば当然です。

石 当初、中国共産党は、中産階級を育てようとしました。中産階級は保守的で造反しないからです。しかし、その中産階級は株の暴落でほぼ全滅。ですから、今や一握りの金持ちがいるだけで、あとは皆、貧乏人です。Ph04
 毛沢東の時代は、皆が貧乏であるから安定したと言えます。中国人は特にそういう性質を持っています。しかし今のように、自分だけが貧乏で隣にベンツを運転している人がいるとなると、不満は高まる。

ペマ 人間とはそういうものですからね。

石 中国の「二月危機説」などがありましたが、私はもう少し後だと思っています。民族大移動で田舎に帰った中国人は、二月、三月はまだ正月の余韻がある。手元にカネがあるんです。農村の中国人はそのカネで、毎日、麻雀をします。中国人は四六時中、麻雀をうっているのか、と思う人も多いでしょうが、そんな生易しい話ではありません。彼らは、麻雀で大金をかけるんです。私は見て知っていますが、農村のヤクザはそれを生業にしているわけです。
 ですから数力月もすれば大半の人間が無一文になる。その時点から、本当の危機が始まりますよ。

ペマ 負けがこむでしょうから、無一文になりかねませんね。

(続く)

※『WiLL』(2009年5月号)より転載。

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