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2009年3月25日 (水)

進む中国の抑圧体制と軍事基地化 対テロ部隊ら20万人追加配備

チベット臨時政府議会議員 ケドゥープ・トゥンドゥップ氏に聞く

 チベット動乱五十周年を迎える中、チベット臨時政府議会議員でダライ・ラマ法王の甥のケドゥープ・トゥンドゥップ氏は十三日、本紙のインタビューに応じ、①チベット駐留の中国人民解放軍は三十万人だが、先月から二十万人が追加配備され、五十万人態勢による強権的抑え込みに入っている②二〇〇六年に開通した青海省ゴルムドとラサを結ぶ青蔵鉄道には、核ミサイルを搭載した列車を収納するトンネル型格納庫が少なくとも九基ある──と述べ、力による抑圧体制強化と軍事基地化するチベットの現実に懸念を表明した。(聞き手・池永達夫)

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 ケドゥープ氏によると、先月二十五日のチベット正月や今月十日のチベット動乱五十周年、さらに十四日の騒乱一周年など、反政府感情が噴出しやすい時期を迎えたチベット人の抗議行動を抑えるため、人民解放軍は近隣の軍区から十七万人、さらに昨年、北京オリンピックでテロ対策などを担当した専門要員から成る治安維持部隊三万人をチベットに展開させた。

 こうした中国の対応について、同氏は「そもそも人民解放軍がチベットに配備されたのは、国境警備が主目的だったはずだが、いつの間にかチベット民衆弾圧のための武力装置に成り代わっている」と強く批判した。

 チベットでは今年、昨年三月の騒乱による犠牲者を悼み、チベット正月を祝わない「黒い年」(喪に服する年)が広まっているが、現金をばらまいたり軍の強制力を行使したりして、「アメとムチ」による正月祝賀を装わせたりしている。

 抑圧体制の現状については「北京政府は一年前の騒乱で九百五十三人を拘束し、七十六人が有罪判決を受けたと言っているが、現実はまだ六千人以上が拘束されたままだ」とし、「死刑を宣告されれば銃殺刑で使われた弾丸の代金も遺族に請求される」と、共産党政権の非情さを非難した。

青蔵鉄道 核ミサイル収納庫が9ヵ所

 また、同氏は中国がチベットの戦略的位置に着目している点を強調、「チベットには当初、インドに照準を合わせた固定式ミサイルが配備されていたが、青蔵鉄道が完成したことから現在では、列車に搭載した移動式核ミサイルを配備している」とし、核ミサイル搭載列車を収納するトンネル型格納庫が少なくとも九基あることを明らかにした。インドが独自ミサイル開発に力を入れているのも、このためとしている。

 ただ、チベット独立支持派のケドゥープ氏は、今後の対応については「今、やみくもに動いても圧倒的戦力を誇る軍によって弾圧されるだけであり、機が熟すのをじっくり待つ」として「待ちの戦略」を説いた。

 なお同氏は、東京・市ケ谷のアルカディア市ケ谷・私学会館で十六日午後六時から、映画「チベット、消し去られた風景1942-43」の上映後、「チベットー闇に葬られた50年」をテーマに講演する。主催はチベット自由人権日本100人委員会で、問い合わせは03(3445)9006。

ケドゥープ・トゥンドゥップ 1952年、インド・ダージリン生まれ。聖ヨハネ学校、デリー大学理学部数学科を卒業。サンフランシスコ州立大学でMBA(経営学修士)取得。現在、ダージリン・チベット難民自立センター所長。チベット臨時政府議会議員。

※『世界日報』(平成21年3月14日付より転載)

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