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2009年4月 1日 (水)

中国建国60年目、天安門20年目の憂鬱 対談 石平×ペマ・ギャルポ (4)

北京が無視できない潮流

石 私が考えるこれからのシナリオでは、今の中国の体制が崩壊するのは、チベット独立運動や民主化運動によるのではなく、その逆です。体制が行き詰まり、崩壊していく中で、独立運動や民主化運動の可能性が生まれる。

ペマ その通りだと思います。

石 体制の崩壊にもいろんなパターンがあると思いますが、一つに体制側が統治方法を変えなければならないところにまで追い詰めていくということがあります。今回の温家宝首相の「回鍋肉」はまさにそのパターンではないかと考えられます。
 そして先ほども述べたインターネットでの政府批判の勃興もあります。こんなことは一昔前なら考えられないことですよ。
 これらを全て、北京政府がコントロールできているとは思えない。一つの大きな流れだと私は思います。

ペマ 全てを中国共産党がコントロールしているとは確かに思えません。同時に外国の操作もあると思っています。
 四川大地震の被害者家族が北京に抗議に行こうとした時のニュースは、先に外国で報道されています。外国に先に漏れて、北京も無視できなくなるという構図です。
 冷戦が終わったと言われますが、それでも東アジアは中国、北朝鮮、ベトナムと共産主義国がいまだ健在です。ソ連の影響下にあったモンコルは民主化されましたが、中国側のモンゴルは依然として共産主義ですね。つまり、中国の影響力はすごく大きい。
 これを西側諸国はよくわかっていて、いろんな力が中国共産党を押さえるために働いていると思います。その動きに入っていないのは日本だけです。

石 本当にその通りですね。アメリカ、EUと共に、日本こそが影響力を発揮すべきです。中国が連邦国家になることが、日本にとっての一番の国益でしょう。

ペマ そうですよ。

石 中国共産党が今のままでさらに巨大化すると、非常に危険です。中国籍の軍艦が津軽海峡を通過したことも、中国が空母を建設することを明らかにしたことも記憶に新しい。
 さらに「人民日報」が報じていましたが、中国の専門家によれば「中国は新型核兵器の開発を止めることはしない」ということです。軍事的にますます巨大化する中国をこのままにしておけば、チベット独立は永遠にありませんし、それどころか日本は次のチベットになります。
 ですから日本は日本の国益のために、中国が連邦国家になる手伝いをしなければならない。

ペマ 日本は中国の動きに対して、もっと敏感でなければならないですよね。フランスのサルコジ大統領やEUがチベット問題に取り組むのは、チベットのためだけに行動しているのではないと思います。国家間のいろんな貸し借りを作るためですね。日本はそういった戦略がなさすぎます。

石 ペマさんが考える中国の連邦共和制のイメージはどういうものですか?

ペマ チベットやウイグルが、きちんと同等のパートナーとして成り立つ連邦制でなければ仕方がないですね。ですから、「中華連邦」ではなく、「中華中央アジア連邦」としなければ我々は関係したくありません。

石 理念が現れますから名前は大事ですね。

ペマ そういう意味で、「○八憲章」には、飛びついて絡みたいというような魅力はないですね。

(続く)

※『WiLL』(2009年5月号)より転載。

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