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2009年4月 4日 (土)

中国建国60年目、天安門20年目の憂鬱 対談 石平×ペマ・ギャルポ (7)

対話路線で独立できるか

石 しかし中国は、国際社会の批判をかわしたら即、手のひらをかえしてくるような国です。一筋縄ではいかないですよ。今、目の前に暗黒の五十年から抜け出せる時期に来ている。ただし、そのチャンスを捕まえるのはチベット人自身です。チベット人は、宗教と政治、建前と本音、理念と謀略を使い分ける必要があります。
 チベット人の相手は、おとなしい日本でもなければカンボジアでもない。中国共産党なんですよ! 悪の限りを尽くしながら六十年間も生き残ってきた国が相手です。彼らほど表と裏の使い分けがうまい国はない。

ペマ チベットは、「法王がチベットの唯一の正当な代表」と「チベットは一つ」ということだけをもって、中国に対応していくことにしています。

石 確かに、ダライ・ラマ法王がチベットの唯一の代表であることを確認した意味は大きいと思います。私が心配しているのは、法王の取っておられる対話路線だけで中国に対応していてよいのかということです。法王の対話路線は国際戦略で考えれば効果があると思います。つまり、法王が柔らかい態度を取っていれば、国際社会のチベットに対する同情は得られる。
 しかしもし、法王が本気で中国との対話によって「真の自治」が得られるという期待を持っておられるのであれば、それは問違いだと思います。

ペマ 長い間、中国を見てきた私も、それは期待できないと思います。それよりも、中国そのものが今後、どうなっていくのかということに期待するしかありません。
 最近、ダライ・ラマ法王に会いに来る中国人が、「胡錦濤は頭が固いけれども習副主席が次の主席になったら状況は変わる」と言ったりしていますが、こういう話は馬鹿げていると思います。

石 全く馬鹿げた話ですね(笑)。やくざの初代組長は頭が固いから二代目に期待しよう、というような話だ! 二代目がダメならまた三代目に期待しよう、と。永遠に何も変わらない(笑)。

ペマ これは海外にいる中国人を使って法王に話を持ちかけるという、中国の時間稼ぎです。チベットは毛沢東はダメだけれども、少なくとも鄧小平に期待していたという歴史があります。しかし、結果的に鄧小平も毛沢東と変わらなかった。確かに胡耀邦は少し違いましたが……。

石 だから消されましたよ!

ペマ そうですね。

石 ですから、対話路線は国際戦略としてはいいとは思いますが、それにチベットが絡め取られる可能性もあります。「真の自治」の意味を矮小化させる諸刃の刃です。

ペマ 国際世論としては、二〇〇八年十二月四日にEUが法王を招いたり、フランスのサルコジ大統領がチェコまで出かけて法王と会談したという動きがありました。アメリカも近々、何か動きがあるでしょう。

石 そういう国際世論のためには確かに対話路線は効果がありますが、中国と交渉するならばチベット人も表と裏を使ったほうがいい。表の対話路線はパフォーマンスとして行い、裏で独立運動を行う必要があると思います。

(続く)

※『WiLL』(2009年5月号)より転載。

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