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2009年6月28日 (日)

中国が張りめぐらすインド包囲網(3)

中国に対し日本は何をするべきか

 日本がなすべきことは何か。それには次の3点が考えられる。1点目は、中国という国を過剰評価あるいは過小評価することなく、中国が今何をしようとしているのかという現実を正確に把握することである。自国の周囲で起きている中国の軍備増強の関連性を正確に伝えようとするメディアも、またそれを前提にして政策を提言し、立案しようとする官僚も政治家も現在は見当たらない。

 2点目は、外交・経済・防衛はすべて密接に連関していることを考えた上で、国家戦略を立てることである。日本の戦略は、縦割り行政でパッチワークの感が否めない。これに対して中国は、前述したとおり、「世界制覇」という国家目標達成に向け、それらを密接に絡め合わせた戦略を打ち出し、実行している。

 3点目は、現在の日本は、東アジア共同体のような主張に象徴されるように、国家目標が短期的で経済優先に傾斜しているように感じられる。明治・大正時代の日本の先人たちのように、グローバルかつ長期的に物事を見る必要があるだろう。

 そして、インド包囲網が着々と構築されつつある今、より現実的な対処として必要なことは、日米印豪4カ国が関係をさらに強化し、緊密な協力体制を構築することである。それを行うにあたっては過度に中国を挑発する必要はないが、インド洋での軍事演習などを通じて、中国を牽制し続け、「中国の意図を我々は十分に見通している」ことを中国に示すべきである。

 インドの核実験以降、インドと中国は力のバランス上、緊張感を意識しながら表面上は良好な関係が保たれているように見える。しかし、現実はそうではないのだ。アジアと世界の平和を脅かし続ける中国の南下政策が進行している限り、今回の金融危機をうまく利用し、虚勢を張ってアメリカにとって代わろうとする中国のしたたかな野望をチェックし続ける必要がある。 (了)

※『WEDGE』(209年7月号)より転載

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