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2009年6月25日 (木)

チェンジ─何を変えるべきか(下)

 私は鳩山氏に、今後も友愛の精神でこの日本を精神的にも構造的にも、ばらばらにするのではなく、まとめていくような大人(たいじん)であっていただきたいと祈願している。政権を取って国の舵取りをすることも大切であるが、健全な野党として与党を上手に誘導し、究極的に国民に幸せをもたらし、国家を繁栄させ、世界の平和に貢献する方法もある。健全な野党があってこそ健全な与党が育ち、国の政治が安定しつつも前進していくのである。

 民主党の党首選が終わった翌日の日曜日の番組で、「友愛」という言葉に対し、漠然としているから意味がわからないとか、抽象的すぎるという批判が展開されていたが、愛とか友情とか友愛、あるいは、ゆとり、裕福などという言葉は、物差しで計ったり指をさして示せるようなものではなく、精神的なものである。このような精神的なものを理解出来ない、あるいは実感したことがないかもしれない評論家たちやコメンテーターの方が、私は問題であるように思った。

 月曜日になってもっと驚いたのは、総理大臣にふさわしいと思われる人物のアンケート結果である。
 鳩山氏が党首になって一晩しか過ぎていないのに、総理大臣という日本国の最高の政治的地位で、全ての行政のトップに立って権力を掌握し、国民に対して重大な責任を負わなければならない人にふさわしいかどうか、その行いを評価するような材料のない所で、このようなアンケートを行い、その数字を発表すること自体、国民を混乱させる悪いいたずらにも見える。

 アンケートの結果が、十ポイントくらいの差で鳩山氏が麻生氏をリードしている、というのは、総理大臣としての手腕や実績、政治力の評価ではなく、単なる人気投票としか思えない。私はこのように政治を愚弄するようなマスメディアの姿勢こそが、国民に政治への信頼を崩壊させ、政治そのものに対して国民の関心と夢をなくさせる原因となっているのだと思う。

 今日の国際状況などを考えれば、日本国の総理大臣を国内のポピュラリズムで決める余裕などない。厳しい国際環境の中、特に隣国に覇権を狙う核で武装した国々が存在することや、日本の経済環境、経済発展を左右する周辺諸国の政情などに対して、充分に反応できる政治家を選出すべきであり、その頂点の総理大臣は現実を見る広い視野と、正しいことを行う勇気と、未来を見通す判断力を備えた人物であることが必要だと思う。

 マスコミはアメリカでオバマ大統領が「チェンジ」を訴えて台頭したことを真に受けて、日本でもチェンジ、チェンジとマントラのように唱えているが、本当にチェンジが必要なのだろうか。何をチェンジするのか、チェンジすれば何がどう変わるのか、そしてそのようなチェンジをもたらすためには政治家、特にそのトップに立つ総理大臣はどのような素質を備えていなければならないのか。しかもそのようなチェンジが容易にできるものではない以上、そのようなトップに立つ人はどのような参謀に囲まれているかなど、包括的に考えて論評すべきではないか。

 ただ自民党が長く政権にいたからであるとか、官僚が大きな発言力を持っているからとかというのではなく、自民党の長い政権と官僚の影と光の部分を冷静に客観的に分析し、それを正しく評価することも大切ではないだろうか。

 私は、もし官僚が独走しているとすればそれは野党を含め、政治家が正しく官僚を誘導・指導することができないのであり、その責任は野党にもあることを忘れてはならない。まして本来であれば国民の目と耳そして口であるはずのマスコミこそが反省すべきことではないであろうか。 (了)

※『向上』(2009年7月号)より転載。

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