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2009年11月 3日 (火)

民意と民主主義(下)

 鳩山氏、小沢氏を始め多くの民主党議員は、かつて自民党に籍を置き、自民党の多くの大物たちから手ほどきを受けているはずであるので、自民党の良き所を応用していただきたい。国民からの大きな期待を含めたチャンスをぜひ活かして期待に応えて欲しい。

 鳩山氏が党首になってからの人事は見事だと感心していたが、メディアなどによると、既に小沢氏が横やりを入れるなど、強引な干渉が見え隠れしている。小沢氏自身の党内における力、ならびに党の選挙に対する貢献は多大であろうが、国民はあくまでも鳩山氏を党首とする政権に対して「イエス」を示したのであって、小沢氏が党首の顔で戦ったのではないことを忘れないで欲しい。小沢氏の政治手腕を疑う人はいないが、同時に細川、羽田、村山内閣を潰し、小渕首相に対しても死の原因にもなったと言える政治的・精神的プレッシャーなどから破壊者としてのイメージが強いことを自覚し、その汚名を返上するよう期待する。

 いずれにしても、民主党は長年の念願が叶えられて、日本の二大政党の今後の成熟を表すバロメーターにもなると思うので。心より成功を祈ると共に、注意深く監視していきたいと考える。例えば百人という大勢を政府に送り込む場合、国会議員の手当をはじめとする多額の給料の出所はどうするのかなど疑問は残る。

 なお自民党に関して、昭和四十年以来四十四年間、私は日本の繁栄と安定の恩恵を受けてきた者の一人として、心よりお疲れ様と感謝の意を申し上げたい。

 私は小泉純一郎氏のわがまま強権政治の六年間に精一杯建設的批判をしてきたつもりである。特に創造と維持のない破壊に対し注意を促してきた。もちろん小泉政権の全てを否定するつもりはないし、特に彼の外交センスは評価できるものもあった。彼の長期政権は運と決断力とパフォーマンス力の他に、日本国民が潜在的に持っている民族の独立精神の現れとしての靖国神社参拝への支持と評価があったように思う。

 私は自民党の選挙での敗北よりも、敗北後の対応に失望している。五十四年間も政権を担当していれば当然様々な問題が生じ、国民からも飽きがくるのは仕方がないとしても、中堅若手と称する山本一太議員などの、口で反省と言っても自分を見つめている様子のない態度には呆れてしまった。二十人の同胞を説得できない人が、どのようにして一億二千万人を束ねていけるのだろうか。もちろん今回の敗北は自民党自身が何よりも反省し、そして再生しなければならない。しかし反省の第一は、自民党が結党時の大義であった自主憲法の制定と自主独立という基本理念を失ったことであろう。これは全ての政党に言えることであるかもしれないが、基本理念を明確に持たない政党はコンパスを持たずに砂漠に行くようなものである。

 従って、古きをたずねて新しきを知るという精神で新たに出発すれば、まだ自民党に未来は残っていると思う。十数年かかって二大政党がやっとここで切磋琢磨出来る環境が整ったのである。従って今回落選した多くの自民党の議員は、英気を養い充分に充電して再出発に臨んで欲しい。健全な民主制度が定着するためには常にある程度の緊張感を保持することが望ましい。国民新党など諸党のバランサーとしての役割も必要不可欠であり、大いに期待している。 (了)

※『向上』(2009年11月号)より転載。

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