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2010年2月18日 (木)

知られざる中国の「水危機」

日本でも水問題の議論を

 私が現在、最も懸念しているのは水の問題です。

 水は人間の生命そのものです。二〇一〇年は水が世界的問題として取り上げられると見ています。国連は二五年までに一八億人が水不足に直面すると推計。今日、水は世界的に石油資源以上に重要視され国家戦略に位置づけられています。気候変動の最大の原因は人間が過剰に自然を締め付けているからです。

 とりわけ中国は、地下にある鉱山資源開発のために水資源の確保・利用に関して植林計画も作らずに、長期にわたり無差別、無計画に植林伐採を行っています。これにより、自然が破壊されています。植林で樹木が育つには数十年かかりますが、伐採は一瞬ですべてをなくし、水は貯まりません。

 水の吸い込みができないため、中国は始終、洪水に見舞われています。ところが、甚大な被害を出しているにもかかわらず、その被害について中国政府は何も発表していません。洪水の秘密を隠しているのです。中国では北京はじめ西安など大都市でも水がないのが現実です。

 さらに中国政府は遊牧民に対して定住を命令しています。この命令は日本にも影響を与えています。遊牧民が飼っているヤギなどの動物は草を食べているわけですが、水不足によって、その草が育たず、不足していることでヤギは根まで食べています。つまり、中国では草がなくなって移動する場所がなくなって、放牧さえできないからです。草がなくなるとどうなるか。大気汚染の原因である黄砂が発生します。それが季節風によって日本に運ばれ森を枯らす原因にもなっているのです。

 かつて中国の首脳が「水不足問題は中国の生死を分かつ」といったように、中国では水問題はかなり深刻なのです。いま中国だけではなくアメリカ、中近東の国々が将来の食料事情を考慮しチベット高原やカンボジアなどの農地を買い漁っています。というのもチベット高原には現在八つの川があり、豊富な量の水源が豊かな農地を生み出しているからです。
 ところが、中国は自然の水の流れに手を加え、この川に乾燥地帯への水供給のためダムを造ろうとしています。中国はそのことを認めていません。これらの川はメコン川の上流域にあり源は一緒で、日本政府はこのメコン川流域の開発に協力しています。この開発についても中国はインドと対立しています。

 現代はグローバル化、ボーダーレス化することにより情報も瞬時に掴むことができます。地球上において私たち人間は戦争も平和も経済も文化も共有しています。しかも、一つの出来事が連鎖していく時代が来ていることを認識すべきです。
 水の問題は二〇世紀のこれまでの科学・物質万能に走りすぎた反動として発生した世界的な問題です。

 日本の政治家の間で「水戦争論」について活発な論議が交わされるよう期待しています。

※『ニューリーダー』(平成22年2月号)より転載。

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