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2010年7月22日 (木)

日印の核エネルギー協力に期待する

 今年2月末、日本の民間外交推進協会の主催で「日印原子力フォーラム」が開催された。インドからシャムサラン元外務次官・元首相顧問(環境エネルギーなど)、マニシャンカルアヤル前石油大臣を招き、日本からも原子力及びエネルギー関係のそうそうたる専門家のほかに直嶋経済産業大臣が来賓として挨拶するほか、政務官がパネラーとして出席し会を盛り上げた。
 私はエネルギー問題の専門家でもなければ、核の専門家でもないが、今アジア全体の経済発展と安全保障を考える場合に、日本とインドの強力は極めて重要でありインドと日本が包括的に今既に存在する良好な関係を更に強化できれば、と願う者の1人としてこの問題についても関心を寄せていた。既にドイツ、フランス、アメリカのみならず韓国までが積極的にインドに対し強力を申し出て、活発な売り込み攻勢を掛ける中、日本の良識ある財界人や経済産業省関係者も同様に危機感を抱き積極的な働きをインドに対して行っている。
 一方報道によれば、外務省は日本が唯一の被爆国として原子力供給グループ(XSG)においてもインドとの積極的な姿勢を示してきた。その立場に対して理解できないものではないが、世界の流れを見ると大きな国益において損害であると危惧してきた。
 今年の秋インドを公式訪問することになっているオバマ大統領とインドのシン首相は今までにオバマ大統領から大統領就任後初の国賓としての栄誉を受けており、両者の間には良好な信頼関係が構築されているので、今後政治、経済、エネルギー、安全保障においてまで更に関係が強化されると見られている。
 そのような中において日本が原理原則論をたてにやせ我慢をすることは世界情勢を必ずしも把握していないか、或いは原理原則論を守るべきことによって失うものが大きいのではないか。
 例えば戦後日本の奇跡的経済復興及び成長の背景には当時の政府の積極的な働きかけがあり、総理大臣のことをトランジスタのセールスマンとイギリスから皮肉られると同時に羨望されるように、現在は隣の韓国が大統領を先頭に活発に経済外交を展開しており大きな成果も得ている。インドにおいてもかゆいところに手が届くような柔軟性を示し、積極的に売り込み政策を実施している。
 インドにおいてまだエアコンは部屋を涼しくする目的のみならず社会のステイタスとしての意味合いが強く、そのため多少の騒音があっても体には強すぎる位の冷気を求めているのに、売り込む日本人は現地のニーズを必ずしも把握しておらず、自分の価値基準で精一杯努力しても結果的に不発に終わることもあるそうだ。外務省の原則論もこれに似ているような気がしなくもない。
 ただ幸いにして最近の外務省関係者の発言のニュアンスなどを見ていると、多少変わってきているようにも見受けられるので、折角、森元首相が築き、ナチュラルパートナーシップからグローバルパートナーシップにまで発展している関係をより確実なものにするためには、底辺の文化交流、中小企業の相互視察なども急務であるように思う。今年は答礼としてインド首相が訪日する年でもあるので、両国の関係が包括的に進むことを願いたい。

※『政界往来』(2010年8月号)より転載。

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