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2010年8月23日 (月)

アジアの中の日本、その役割と展望 (1) 


アジアの中の日本の位置付け



 今日はまず、現在日本が置かれているアジアの中の位置付けについてお話します。もしかしたら、自分自身の顔が見えないように、いま日本がどうなっているのか、見忘れていることがあるかもしれない。

 まず、日本の新聞などで普通、アジア重視と言ったときには韓国、中国あたりを重視することを言っているようです。政治家のアジア外交と言う場合も同じです。しかし、実際にはアジアには少なくとも20数力国があって、地図の上の方からいくと、かつてのソ連から独立した、国名に「スタン」の付く国々と中国とロシアで上海協力機構があります。この中に残念ながら日木は会員としてもオブザーバーとしても人っていません。

 それから、下の方にいって東南アジア。当初は7カ国でした。現在はベトナム、ラオス、カンボジアを含めてASEANがあります。ここでは日本は、一応プラス3として韓国、中国と共にオブザーバーとして毎回参加しています。ASEANはなかなか賢くて、ASEANが自立するためには飛行機の両羽根のように中国とインド両方とバランスをとることが大事だということで、まずインドを入れています。

 そういうことで、南アジアにおいても残念ながら日本は正式なメンバーとして物事を決める権利はない。
 インドは当初、7つの国だったんですが、スリランカ、モルジブ、ネパール、ブータン、バングラデシュ、パキスタン、最近アフガニスタンが加わり8カ国になっています。ここでも3年前から日本は中国、アメリカ、EU、韓国と共にオブザーバーになりました。

 残るAPECですが、さらに地球上の裏まで行ってアメリカまでが関わるということにおいて、辛うじて日本は正式なメンバーとして物事を言えるような立場にあります。

 最近、日本の中で東アジア共同体をつくろうと言っていますが、これに対して周りでは警戒の気持ちを持っています。日本が積極的なのはわかるけれども、日本に対して歴史的あるいは感情的なものを持っていて必ずしも日本に対してフレンドリィーでない人たちの中に飛び込むということは、蛾が闘牛の中に飛んでいくようなものではないかなと心配をしています。

 そういうことで、日本はアジアの中にいながら、アジアからは必ずしも仲間と思われていない。その一例が、日本が国連の安全保障理事国の常任理事国になりたいと名乗ったところで日本を積極的に支持する国は残念ながらモンゴルとモルジブ、ブータンだけなんです。戦後、多くのアジアの国々が経済復興が出来て発展したのには日本が相当貢献をしていると私は思いますが、それが必ずしも日本の国際社会における地位を向上するのに役に立っているわけではないと思わざるを得ません。

 一方、たとえば鳩山内閣になってから日本とアメリカの関係がギクシャクし始めると、一番心配しているのがこの東南アジアの国々で、シンガポールの首相などはわざわざ日本に来てアメリカとあまり問題を起こさないで欲しいと言っているんですね。

 1979年から中国は4つの近代化のーつとして軍事力増強、軍の質の向上に力を人れ、いま240万という世界最強の軍隊を持つようになりました。約60隻の潜水艦を持っています。アメリカが太平洋に27隻しか潜水艦を持っていないということを考えたとき、それぞれの国が中国と付き合わなければならい相手でありながら、しかし、アジアの国々それぞれは苦い体験をしています。

 日本が今まで政治力あるいは多少の発言力を持ったのは、ほとんどODAの経済力をバックにしたものでした。その経済力が少しずつ衰えてくるとますますその力が及ばなくなってきているというのが現状ではないかと思います。

 ただ、中国、インドがいくら台頭しているといっても底力はまだずっと日本のほうがあると思います。そういう意味で、私がきょう皆さんに話したかったことは、ここでもう一回過去を振り返ってみて、そして現状を踏まえた上で、未来に対してしっかりしたビジョンを持って行動すれば、まだまだアジアの国々から期待されているし、日本自身まだまだ余力が残っていると思っています。 (つづく)

※『いわて経済同友』(通巻555号)より転載。いわて経済同友会第444回例会(平成22年7月12日)での講演録

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