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2010年9月10日 (金)

民主党は国益を最優先せよ

代表選工作は見苦しい
参院改革で国家百年の計を

 民主党は次の代表選に向け活発に動いている。その有様はかつての自民党を思い起こすような派閥工作であり、ある意味では国民を愚弄する行為にさえ受け止められる。特に自分たちが行っている過ちに関して、「自民党でもそうであったではないか」というのは口癖のようつだが、自民党のそのような行為を自分たちが批判し、国民もそれに同調して彼らに代わってもらったことを忘れてしまい、「自民党がしていたのだから自分たちがやってどこが悪いのか」というような態度は実に残念である。

 ここは民主党に次の代表選の誰が代表になるにせよ、民主党政権が当分続くという前堤で考える上で、民主党が次の選挙まで何をやっても良いということではなく、むしろ先の参議院選で国民は既にメッセージを送っていることを反省の材料にし、国家国民のための政治を行わない限り、国民は民主党に対するチェンジヘの期待が大きかった分だけ失望感も大きくなろう。たとえ民主党が衆議院の任期満了まで政権を維持できたとしても、次の総選挙で国民から必ず審判を下されるだろう。だが、それまでに国民と国家が受ける損失は、計り知れないものになる。

 損失を最小限に食い止めるためには何よりも先の参議院選の敗北を民主党は真剣に分析し、反省すべきであるが、今の民主党にはそのような謙虚さが見えない。その一つの例が、先の選挙の敗北要因は菅直人首相の消費税発言が全てであるかのように言っていることである。私はサイレント・マジョリティーたる国民の潜在意識の中には、小沢幹事長(当時)の総勢600名余りを引き連れての中国への朝貢外交と、皇室の慣習を破っての中国の国家副主席の天皇陛下への謁見のごり押し、更にはアメリカとの関係がぎくしゃくしている間、中国による日本国の海空の領域を侵すような行為に対して生ぬるい対応などへの不安と不満があったと思う。そのような要因を無視し、菅首相の消費税発言だけを敗北原因として問題の核心を隠そうとするのではなく、このような国民の思いを認めて、率直かつ素直に反省し、政策に反映させるべきである。

 世論調査などでも明白であるように、国民は消費税の引き上げに積極的賛成ではないにしろ、国にとってそれしか手が無い場合、やむを得ない処置として受け入れる姿勢を示している。つまり、今回の敗北の要因全てが消費税ではない。国民が関心を持っているのは政治と倫理、特に政治と金の問題についてである。民主党は国民が納得できるような模範を示していないだけではなく、野党時代に言い続けてきたことを棚に上げ、各業種に対しても締め付けを強くし、陳情の党への一本化を図ることによって政治と業界の関係を強化するような行為に出ている。これについても反省を求められている。

 民主党は野党時代においては様々な改革を提案し、一般国民にも、もしかしたら…という期待を抱かせてきた。今こそ誰が代表になり、首相になったとしても国民の意思によってチャンス与えられた民主党は率先して次のことを実行すべきであると思う。第一に参議院の定数を半減し、その質を向上させ、参議院本来の役割と機能を充実させるため、政治や行政のプロを積極的に参議院へ送り込む。その上で、大局的に国益を追求していくため、外交と防衛教育に関しては参議院に優先権を与え防衛大臣、外務大臣、文部科学大臣は参議院議員から任命し、任期をできるだけ長期化して国家百年の計を遂行することに努める。

 第二に日本古来の家族愛、郷土愛そして民族意識をべースにした自然な愛国心を取り戻すため、伝統と輝かしい歴史に基づく文化を保持発展させるため、大家族が現実的に復活できるような経済政策を展開し、家族三世代が同居できる住宅政策、また税制上の便宜、経済的支援を可能にするような制度を実現すること。

 第三は第二の実現によって高齢者の孤独死や行方不明、痴呆症などを防ぐと同時に、子供たちに日本人としての正しい日本語を学ばせる他、祖父母を通して伝統文化の口伝を受け、日本の世界に誇るべき豊かな文化を継承させるとともに人に対する思いやりなどについて自然な方法で身に付けてもらう。

 第四に衆議院は現行の優先権に基づいて国の経済的発展、特に選挙区や諸々の業種などの代弁者として、それぞれの状況とニーズに合ったサービスに努め、国全体のバランスの取れた発展に寄与する。私は民主党に一番不足しているものは、国家観と世界観に基づく長期的なビジョンとそれを遂行実現するための、計画と調整に長けた人材であると思う。民主党シンバではないが、せっかく国民から与えられたチャンスを活かし、世界の中の日本と未来の日本のため頑張って欲しいという一国民としての期待と祈りを込めて、来る9月の代表選においては私利私欲、党利党略を超えて国民のための政党として、国益を最優先するような姿勢を国内外にぜひ見せて欲しいと願うものである。

※『世界日報』(2010年8月25日付)より転載。

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