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2010年10月 2日 (土)

小さくともきらりと光る

「小さくともきらりと光る国」というのはかつて菅直人現首相たちの政党だった「魁」のキャッチフレーズであったが、輝かないまま消えてしまった。しかし今、世界中から注目を集めている国がある。それがGNHつまり国民総幸福度で知られるブータン王国である。現在民主主義制度を導入し、立憲君主国として着実に近代化を歩み始めているこの国は、国王自ら60歳を定年とする画期的な制度を導入し、民主制度を革命や下から突きつけられてやむを得ず実行しているのではなく、国王が率先しリーダーシップを発揮して実現した民主主義である。国王は近代憲法を定めるにあたり草案を国民に説明し、国民の理解と意見を繁栄すべく二年間にわたり全国を隅々まで歩かれ、国民の総意を汲み上げて新憲法を制定した。そして50代で自ら王位を退き皇太子にその地位を譲り、現在は政党政治に基づく選挙で国民の信託を受けた与党第一党が政権を担当する形を取る。安定した政権がリーダーシップを発揮し着実に民主化も近代化も前進している。

 新政権の目標は出来るだけ早いうちに、つまり現政権のもとでODAなどに頼らなくても自立できるような自給自足の経済基盤を確立するという国家目標をビジョンのみならず現実的な政策実行をもって成し遂げようとしている。日本でも総務省によって幸福度を測るというような調査が行われているが、ブータンはこの国民幸福度の哲学を展開したのみならず、実際具体的な指数を打ち出すことによって72項目という包括的な調査によって国民の幸福度を測り、そしてGNPやGDPを否定するものではないがGDPは生産力や経済力を測ることは出来ても、それが国民の生活の豊かさや幸せそのものを保障するものではなく、もっと精神的、文化的な要素も大切であると言うことを強調している思想として注目されている。国民の医療、最低限度の教育は国家の責任において無償で行われており、能力に応じて留学の機会を積極的に与えることで高学歴の社会化にも進んでいる。

 国民1人が年に日本の木を植えるという政策から見えるように、環境保全にも力を入れ、国民が民族衣装を身に纏うことで伝統産業と文化を維持している面でも各界の注目を浴びている。

 日本国とは王室、皇室の交流を始め政府間の関係も極めて良好で現在ニューデリーの駐在大使が日本大使を兼務する一方、三名の名誉総領事、名誉領事が昨年任命され、両国のより一層の関係を深めるのに努力している。8月下旬首都ティンプーでこの方々と一緒に私もブータンへ出掛け現状を調査研究の予定でいるので、いずれ紙面で報告できると思う。ブータンの動向は今後多くの国々の模範となるよう期待している。

※『政界往来』(2010年10月号)より転載。

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