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2010年12月12日 (日)

ガート・ヨハネス・グロブラー南アフリカ共和国駐日特命全権大使 〔第2回〕

「南アフリカは常任理事国入りを希望しています」

ペマ・ギャルポ(以下P) 大使から非常に、包括的に現在両国間で話されていること、そして役割などについてお話しがございましたけれども、FECの英語訳がInternational Friendship Exchangeとなっていますけれども、日本語では民間外交推進協会と言って、実際はより積極的に民間外交をengagementしていく組織であり、メンバーもほとんどが日本を代表する企業のトップの方々で、その意味でも今後日本と南アフリカの関わりにも両国にお役に立つ仕事ができると思うんですけれども、その中において特に私たちが関心を持っていることの一つが、今大使からも国連のお話しもありましたけれども、日本は一応国連の安全保障理事国の常任理事国に名乗り出てやりたいと積極的に活動もしているんですね。世間の評判としては当然アフリカからもし出るとしたら南アフリカが最有力の候補者として考えられていると思いますけれども、国連の改革、及び国連の今後の役割についてどういうお考えを持っていらっしゃるかということと、南アフリカを含めて、今後国連の常任理事国を増やすことを南アフリカがどう考えているのか、差し支えなければ、日本が立候補していることに対してもどうお考えになっているのかお聞かせ願えればと思います。

大使 確かに南アフリカというのは民主化を果たして国連に戻ったわけですが、私どもの立場といたしましては国連というものが世の中の平和や安定や経済的成長を促進するための鍵となる組織だと考えております。ただ国連が出来たときからは時代がどんどん変わってきておりますので、確かに基本的なところで変えていかなくてはならないこともあります。基本的なところだけでなくて、安全保障理事会でだったり、常任理事会がどういうふうな形であるべきかであるとか、時代が変わりましたので、いろんなことで変えていかなくではならないことはあるのですけれども、ただもう一方で私どもが考えるのは、やはり国連がきっちり機能するための道具のようなものを与えなければいけないのではないかと思っています。
 と言うことで私どもは非常に多国籍間の関係というものをいつも重視しておりますので、そういった改革が必要ということはわかっておりまして、それでその改革というものも国連がより民主化されなくてはいけないとか、より透明化されなくてはいけないとか、そういうふうには考えております。
 それで安全保障理事会に関して申しましたら、現在の五カ国だけが理事国になっていて、かつ拒否権も持っているということに関しまして、私どもといたしましてはアフリカからの代表も入るべきだと思いますし、また安全保障理事会がより国大されたものでなければいけないと考えています。
 特に安全保障理事会に関しては南アフリカの立場としてはいろんなプロポーザルを出してまいりましたけれども、少なくともアフリカから2議席は欲しいということは言っております。ただそのアフリカから2議席と申しましても、南アフリカの立場を申し上げますと、私どもはアフリカの中では非常に経験もありますし、キャパシティもあります。国連の改革に関しては有能なメンバーとして力を発揮できると考えております。ということで私どもは常任理事国入りを希望することを宣言しております。そして安全保障理事会の改革を早く実現するように進めたいと考えております。またその改革された安全保障理事会の中には必ず日本が入っているべきだと思っております。
 ただこれは本当に協議をつめ続けなければいけないことですので、先日岡田外相との間ではこういった国連のことも含めまして、より一層対話を進めていくことを確認したところです。

P 大使から政治、経済、広い範囲についてお話しをいただきましてとても感謝しております。この数日間、私の学生はみんな寝不足になっておりまして、今回南アフリカはワールドカップ主催国になっているということで、もちろんまだ結論を出すには早いかと思うのですが、南アフリカにとってそれによって良かったこと、また困ったことはありますか?

大使 本当に残すところあと二日となりましたけれど、既に効果というのはでてきております。私どもが考えますには、ワールドカップはアフリカにとっても、南アフリカにとっても、とても大きなプラスの効果を生んだと言えます。
 南アフリカ政府としては相当な額をワールドカップに投入しましたけれど、結果として、その恩恵を今後10年、20年と受けていくと思っております。
 ワールドカップがあってもなくても、私どもの経済はここ10年、20年相当な勢いで発展してきておりましたので、いずれにしても交通や空港などのインフラの改善、近代化の時期には来ていたのですが、それが今回たまたまワールドカップという機会があったので、それをさらに加速させることにはなったのですが、いずれにしても、ワールドカップの有無に関わらずインフラ整備はしただろうと思います。ワールドカップが契機となって急速に近代化いたしましたので、国民は今後長い間その恩恵を受けていくと思います。インフラ整備に関してはワールドカップで終わり、ということではなく、先ほども申し上げた800億ドルというインフラ整備予算ですが、私どもはあまりに急速に経済的に進展してしまったために、インフラ整備が本当に追いついていないところがございますので、ワールドカップ後も手を付けていかなくてはいけないところが沢山あります。供給が需要に追いついていない状態なのです。
 スタジアムに関して申しましても5つは既存のものを補修、改修されたもので、4つは新しく建てられたものなのですが、よくアメリカ人が全く使われなくなった箱物のことを“ホワイトエレファント”という表現をしますが、南アフリカに関してはこれは全く心配のないことでして、5つは既にあったものを直しただけだということ、新しくできた4つはもともとその地域にそういった施設が必要だったのです。というのは南アフリカの人たちはスポーツや音楽等のイベントが大好きな人たちなので、そういうものが本当に必要とされていて、それを建てただけだったのです。それからこういったことは経済的な効果だけでなく、心理的な効果ももたらしました。ワールドカップが成功裏に終わったということで日本だけでなく世界中が南アフリカに対してとても前向きな味方をするようになったのではないかと思います。それによってビジネスや投資が当然増えるでしょうし、観光客もおそらく増えるでしょう。ワールドカップの効果は本当に長いこと続いてくれるだろうと思います。 (続く)

※『政界往来』(2010年12月号)より転載。

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