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2011年8月29日 (月)

日本とインドの関係拡大を

相互補完で経済再生へ
包括的経済連携協定が発効

 今回日本を襲った大震災の陰になってそれほど注目を浴びなかったが、実際は大きな出来事があった。日本とインドが包括的経済連携協定を2月に結び、この8 月から実効している。IMF(国際通貨基金)などによると今後5年以内にアジアの経済はアメリカとEUをほぼ合わせた規模の経済に拡大する。その中でもインドはこの20年間確実に成長し、昨年は8%、今年は8 ・5 %の成長を見込んでいる。

 日本は高齢化社会で65歳以上の人日が23%を占めているのに対してインドは50%が25歳以下という日本とは逆を示している。つまり経済が低迷気味である日本と経済的に躍進しているインド、高齢化社会で悩む日本とダイナミックな、しかも高質な労働力となる若い世代に支えられているインドが、互いに補完しうる部分が大変大きい。アジアの経済の中核を担うインドと中国だが、日本は今まで中国一辺倒で投資し、日本の高度な技術を移転して来た。お陰で中国の対外貿易は北京政府が、いわゆる改革経済に踏み切った時の200億ドルが2001年には5090億ドル、そして今年度上半期では1兆7000億ドルに達している。これはまさに日米と台湾のお陰である。

 しかし、中国のこのような著しい経済発展は日本にとって一時的な「吉」であっても長期的な「凶」に転換することは間違いない。なぜならば中国は既に日本を経済的にも侵略しようとしているからである。

 一方、インドにはそのような野心は少なくとも日本に対しては無い。従って、この日本とインドの包括的な自由貿易の協定は両国のみならずアジア全体のために、世界のために良いはずである。両国は1年以内に現在の中国と日本の経済関係に相当するまで伸ばしたいという目標を持っているようである。

 今回の協定は人的交流にも配慮しているようで、短期滞在訪問者のために入国手続きを簡素化し、入国管理法とその手続きの透明性を確保しようとしている。また日本側は、契約サービス提供者、独立した専門家による会計、研究開発、観光ガイド、市場調査、経営コンサルティングの提供を許可するとしている。インドからのヨガのインストラクター、古典音楽や舞踊教師、インド料理の料理人、英語教師なども受け入れやすくするようである。これは大変歓迎すべきことであると思う。日本とインドがお互いに有益な条約を提携し、親密な関係を構築することは最も自然なことであると思う。

 今後はさらにこの協定がより有益性を高めるため、双方が人材育成に力を入れる必要があるだろう。インドから中国留学生を上回る留学生がアメリカに行ってのに、日本にはまだ1000人にも満たないのが現状である。日本から近年外国への留学生そのものが減少している傾向があると言われるが、とにかくインドへの留学生は非常に少ない。

 インドは今年の国勢謡査で12億2000万の人口を持っていることが明らかになり、2030年ごろまでには中国を追い越すと言われている人口大国でもある。長年の英国による植民地支配の影響でインド各地には数多くの英語を媒体とする学校が点在し、世界に通用する国際ビジネスマンを輩出しているが、技術などの面においてはまだまだ日本に比較すると残念ながら遅れを取っている。

 報道などによると日本から15万人の経験豊かな技術者が中国や韓国に流れ、それが今となっては両刃の剣となり、逆に日本の競争力において脅威となっている。これは残念ながら橋本内閣から始まり、小泉内閣で加速した無計画・無策の自由化によっ
て一時的な利益を追求し、沢山の有能な人々を一方的にリストラしたことの報いであると言わざるを得ない。日本と中国、インドと中国はそれぞれ領土問題などを抱えているが、幸い日本とインドはそのような衝突は現存しなし、未来にも起きる可能性はほとんど無いと言えよう。従って私は計画的に日本の経験豊かな元企業戦士たちをインドに送り込み、既に発展しつつあるインド経済の活性化を加速させるのに協力することは結果的に日本の経済の再生も繋がると信じる。

 日印関係が良好な方向に向いてはいるものの、日本はまだ十分インドの無限の可能性に気付いていないようである。日本国内にいて原子力問題が政治家や一部企業人の利益のために政治問題の人質になっている間も韓国とインドは原子力協定を結び、日本はここでも韓国に一本取られたように思う。日本はグローバルな視野で真のパートナーを求め21世紀に向けて強く、這しく羽ばたいて欲しいと願っている。

 テレビ各社や新聞は菅首相が辞めようという前提で次の首相についてキャンペーンを始めているようだが、残念ながら誰がなろうと万病に効く薬が無いように、今の日本の問題を全て解決できるよなリーダーの出現は望めない。民主主義社会においてはむしろ国民一人ひとりが主権者としで自覚と責任を持つことが先決であり、マスコミにこれ以上惑わされること無く建設的な世論作りに各自が動するほかないと考える

※『世界日報』(2011年8月17日付)より転載。

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