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2012年6月25日 (月)

日本をチベットのようにしてはならない (後編) 竜の口法子

 国は守らなければなくなってしまう──。それを思い知らされる事実のひとつが、チベット問題です。前号に引き続き、幸福実現党の竜の口法子さんが、いまは中国の“自治’区”となったチベットから亡命し、日本lこ帰化したペマ・ギャルポ氏に、チベット問題について聞きました。

日本のマスコミは中国の顔色を窺っている

前回は、ペマ・ギャルポ先生に、「チベットの歴史と現状」についてお話を伺いました。民族、文化、宗教、そのどれをとっても中国とはまったく異なるな国であったチベットが、暴力にによって“自治区”にされてしまった現実と、これだけ国際化が進んだ現代においても人権弾圧が続いていることを思い知らされました。今回は日本の現状について、ペマ先生のお話を交えながら考えていきたいと思います。
 今回のように直接話を聞かなければ、チベットの現状がここまで悲惨だということは、私も知りませんでした。ときどき、チベットやウイグル、モンゴルなど、少数民族の“自治区”といわれる地域で“暴動”が起きていると報道されることがあります。日本のニュースでは少ししか報道されませんし、“暴動”という言葉を使っていますが、実際は反中国のデモが数多く起き、中国の武装警察に鎮圧されているそうです。
 ペマ先生は日本のマスコミの問題点を指摘します。
 「日本のマスコミは中国の顔色を窺っているところが多く、真実を報道していません。マスコミは本来、真実を伝え、啓蒙することが使命ですが、今の日本のマスコミは『中国が取材に協力してくれなくなったら困る』という事情を優先してしまいます。私がテレビに出
演して中国に不都合なことを話すと、後で中国大使館からテレビ局に電話がかかってくるそうです」
 そんな中で私たち日本人は、どのように情報を選択していけばいいのでしょうか。
 「日本人は自分自身で考える力を持ってほしいです。どうか、マスコミが流す情報に“洗脳”されないようにしてください」

憲法9条では日本を守れない

 また、「私は仏教徒ですが」と前置きしてペマ先生は言いました。
 「戦争を避けたかったら、戦いの準備をした方がいい。防衛のためです。日本が平和を守れたのは憲法9条があったからではなく、アメリカが日本を守っていたからです。そして、野心を持った国、中国がまだ弱かったから。しかし中国は軍備の近代化を急ピッチで進めており、初の空母も配備しつつあります。日本は自分の国を守る覚悟悟を持たなくてはなりません」
 ところが、ある日本人は、「中国が攻めできたら日本は降参すればいい。中国が日本に悪いことをするわけがない」とペマ先生に反論してきたそうです。
 「“二級市民”にされる屈辱は、味わってみなければそのつらさがわからないのでしょう。
 日本は天皇制を中心に2千年間、国を維持してきました。アジアのほとんどの国が植民地化される中で、日本は自ら明治維新を起こし、国を守ることに成功しました。戦争に負けたときも、屈辱と悲しみの中から日本を繁栄させようと、先輩たちは歯をくいしぼって頑張った。その結果、いまの日本があります。
 日本を守るためにいちばん必要なことは、軍事力ではないと思います。必要なのは、「自分の国は自分で守る』という自覚です。日本は、平和ボケしていた昔のチベットと同じように、国民一人ひとりが国を守る必要性を感じていないのではないでしょうか。
 私は、第二の祖国・日本をチベットのようにしたくはありません。だからチベットの現状を伝えて、日本にはそうなってほしくないと訴えているのです」

国を守るうえで女性の役割はとても大きい

 最後に、日本の女性たちへメッセージをいただきました。
 「『母国語』と言いますが、『父国語』とは言いません。国と民族を守るうえで、女性の役割はとても大きいと感じています。子どもの最初の先生はお母さんですからね。日本の女性にお願いしたいことは、母国語を大切にしてほしいということです。言語にはその国の文化が生きているからです。たとえば、日本では同じ魚を大きさによってシラスと呼んだりイワシと呼んだりしますが、チベッ
トでは同じ魚の呼び名は一種類です。かわりにヒツジを表現する言葉がたくさんあるのです。
 それから、日本の国会議員には女性が少ないです。これは制度の問題でも、優秀な女性がいないからでもなく、政治に対する関心が薄いからではないでしょうか。自分たちで未来をつくることができるということを信じて、女性たちが自分の意志で一票を投じれば、日本は変わります」

           *   *   *

 今回の対談を通して、ペマ先生の、「愛する日本を何とか守りたい。しかし、もどかしい」というお気持ちが、ひしひしと伝わってきました。また、「国がある」ということが、当たり前ではないとわかり、身が引き締まる思いがしました。チベットが中国の“自治区”になって半世紀以上が経ちます。今、世界中で、中国の人権弾圧の真実が、ペマ先生のような勇気ある人々の行動によって明らかになってきています。その真実の声に耳を傾け、私たち日本人が、「祖国を守る」
という気概を取り戻すときは、「今」なのではないでしょうか。
同時に、日本が中心となって、中国の覇権と人権弾圧をくい止め、アジアの平和と安定に貢献していくことが、アジアだけではなく世界の希望になると感じました。

※『Are You Happy?』(2012年7月号)より転載。

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