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2013年8月20日 (火)

早急に憲法改正に着手せよ

国際社会に十分説明を
対話不足で生まれる不信感

 参議院選挙はマスコミの予測、私の期待通りに終わった。自由民主党は65議席を確保し、非改選も含めて115議席を取り、公明党の20議席と合わせると過半数を超える勢力になった。ただ残念ながら憲法改正に必要な3分の2を確保するには至らなかったが、幸いに憲法改正賛成の立場を取っているみんなの党と日本維新の会を合わせると憲法改正発識に必要な3分の22に達した。
 私は早急に選挙公約である憲法改正に着手すべきであると思う。なぜ急ぐかと言えば、時闘が経てば経つほど憲法改正を阻止しようとする国内外の勢力に時間を与えることになるからである。安倍首相は今の勢いを活用し、96条のみならず第1条や第9条を含め、主権国家日本としてふさわしい憲法改正を政治生命を懸けて行うべきである。
 今回失敗すれば再びチャンスが近い将来に訪れるとは限らない。しかし、国際情勢は刻々と動いており、特に日本を取り巻く環境は極めて危機的な状況にあると認識すべきである。だが、この改憲に関しては国内のみならず国際社会に対しても十分な説明を事前に行う必用がある。勿論、主権国家である日本が自国の憲法を改正することに、他国の干渉を気にする必要はないことは言うまでもないが、不必要な誤解を生むことは避けねばならない。
 特に、同盟国であるアメリカとアジアの国々に対しては、外交ルートのみならず、あらゆるルートを作って日本の真意と周辺の地政学的変貌について十分な説明をする配慮をみせることは決して無駄なことではない。ここで一言うアジアは、日本のマスコミが言うような中国や韓国だけではなく、東南アジア、南アジアをはじめ、アジア全体のことを意味する。
 この度の自民党の圧勝は、タイムリーであって天の助けと言ってもよいのではないか。なぜならば、最近の中国や韓国などの言動や台湾の情勢などを見ていると、現在の憲法では対応しきれない限界に来ているからである。なお、安倍首相には今までの経験と叡智、勇気をもって内閣の改造と党内人事に関しても、慎重かっ包括的に粛々とリーダーシップを発憤していただくことを切に願うものである。
 私は、アメリカの日本占領支配及びその後の政策などについては、納得行かないことが多々あるが、同時に今日の日本の安全保障を含め、発展に寄与した側面も正当に評価すべきであると思う。ゆえに、現在、同盟関係にあるアメリカに対して十分な理解と協力、あるいは支援を要請することは大切である。同盟関係においては、相互信頼が極めて重要である。人間関係と同様に、国家関係においても親しき仲にも礼儀ありであると同時に、親しければ尚更、コミュニケーション不足による誤解から生じる不信感は、他人や非友好国からの不信感以上に感情的なものが生まれる。私が大学生であった頃のアメリカによる日本を無視した中国接近は、多くの日本人にショックを与えた記憶がある。
 つい最近では、世界最大の人口大国、インドと中国の聞に挟まれるブータンにおける政治劇の例から、コミュニケーション不足によって生まれた誤解の恐ろしさを痛感する。1949 年以来ブータンとインドは極めて親密な関係を構築してきた。互いに、いち早く国家として承認し合い、半世紀以上にわたってブータンは外交と防衛に関しインドと密接に協議し協力を得てきた07年ブータンは新国王即位と立憲君主制への移行に伴い11949年の条約を改正し、独自の外交と防衛武器輸入などを認める条約が締結された。
 それに基づき立憲君主制の下で初めて行われた総選挙で誕生した新政権は、この5年間で新たに32カ国と国交を結ぴ、国連の安全保障理事会の非常任理事国に立候補するにあたり、中国を含め常任理事国とも接触することになった。ブータンは「P5 」つまり国連保理の常任理事国とは外交使節など置かないという基本原則を維持しており、インドとブータンの間に石油の補助金の条約が6 月30日に期限切れを迎えたことを総選挙中の臨時政府にインドから通達したところ、ブータン側から暫定政権であり、次の5カ年計画も選挙後の内閣によって行われるので待って欲しいと、インド外務省に伝えられた。
 一方、インド石油公団は、事務的にブータン側に期限切れの通達を出してしまった。このようなミュニケーション不足から、ブータンが親中的な姿勢に転じているためインドが意図的に石油の補助金を停止したという噂が流れ、ブータン国民がインドとの関係を心配するとともに中国に拒否応を示した結果、総選挙にも影響したと見られている。
 ブータンおよびインド両国の関係者によると、両国の関係は重要かつ特別であり、その信頼関係は未だに磐石であると言う。実際にこのようなハプニングはまことに残念であり、国家であっても互いに胸襟を開き十分に話し合うことも大切であることを痛感した。安倍政権には勇気と叡智をもって正しい政策を断固として実行して欲しいのとのと同時に、不必要にエネルギーを消耗することは極力避けいただきたい。

※『世界日報』(2013年8月4日付)より転載。

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