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2014年6月16日 (月)

暴走中国 その覇権主義的本質 1

領土野望と虐殺実態

緊急告発

 最近、ある方から「中国は本当に沖縄県・尖閣諸島を奪いに来るだろうか」と聞かれた。私は即、「それは日本次第でしょう」と答え、さらに「日本が弱腰な姿勢でいたら、尖閣だけでなく沖縄全体も奪うでしょう」と付け加えた。
 チベット出身の私は7歳の時から中国と戦い、それはいまだに終わっていない。チベット亡命政府の発表によると、これまでに約120万人のチベット人が、蜂起や処刑、拷問死、獄中死などで命を落とした。私は、中国の領土拡張の野望と覇権主義の実態を、身をもって知っている。
 日本人はよく、「中国は大きい」というが、それは大きな勘違いだ。大きく見える中国の63%は本来、私の故郷・チベットや、東トルキスタン(ウィグル)、南(内_モンゴルなどである。チベットの面積は約240万平方㌔で、中国全体約940万平方㌔の約4分の1を占める。
 中華人民共和国が誕生した1949年、人民解放軍は東トルキスタンを侵略し、翌年にはチベットに侵入した。55年「ウィグル自治区」が成立し、10年後の65年に「チベット自治区」が成立した。
 中国は、チベットを、チベット自治区と青海省、四川省、甘粛省、雲南省などに分断し、分割支配している。いまだに暴力行政を行い、言論、思想の自由などを奪い、人間としての尊厳さえも踏みにじっている。
 毛沢東主席は53年、チベットのダライ・ラマ法王に対して、「チベットの改革・解放が完了したら、人民解放軍は引き上げる」と約束した。

チベット分割支配 暴力行政、監視、言論自由奪う

 しかし、中国は現在も約25万人の軍をチベットに駐屯させ、ほぼ同数の公安警察や武装警察、住民の数ほどの隠しカメラを配備・設置して、チベット人を監視している。ウィグルも同じような状況だ。そこに自治は存在しない。チベット自治区のトップである共産党委員会第1書記にチベット人が就いたことはない。
 中国の胡錦濤前国家主席はチベット第1書記時代(88〜92年)、無慈悲、無差別な大量虐殺に関与したといわれる。スペインの裁判所が昨年10月、この件について訴えを受理している。
 ここで強調したいのは、中国がチベットやウィグルなどの本格的支配を始めたのは、わずか約60年前ということだ。そして、チベット人やウィグル人たちは、いまだに精神的に屈服することなく、必死に抵抗を続けている。

民族問題は中国のアキレス腱

 「政治犯」として獄中生活を強いられたチベット人は、拷問や虐待を受け、医療や食事もまともに与えられないという。罪状は冤罪といえるものが大半とされ、ある歌手は独立の歌を歌った罪、ある者は焼身抗議(自殺)を奨励した罪、ある高僧は証拠もないまま武器を所持し隠した罪に問われた。
 チベット亡命政府によると、チベットでは4月16日までに、2009年2月27日から数えて131人目の焼身抗議者が出た。彼らのほとんどは「ダライ・ラマ法王の帰還」「チベットの団結」「チベットの独立」を叫んでいる。インターネットに動画があるので、命をかけた訴えを見てほしい。
 民族問題は、中国のアキレス腱になっている。中国の実像は、日本人が思うほど大きくも、安定もしていない。
 中国は現在、南シナ海のパラセル諸島やスプラトリー諸島で、ベトナムやフィリピンの領有権主張を無視して、「力による現状変更」を試みている。中国が覇権主義国であり、領土拡張主義国であることは、チベットやウィグルを見ればよく分かるはずだ。

※『夕刊フジ』(2014年5月20日付け)より転載。

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