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2015年3月17日 (火)

長期的展望でODA大綱改正を

積極的平和主義へ一石
国連で相応しい位置を得よ

 日本国政府はODA(政府開発援助)に関する大綱の改正を行おうとしている。これは日本国にとって大変重要なことであると考え、その方針に対して賛同するものである。特に注目すべきところ は日本国の国益に即した形で行うという部分である。今までアジアの多くの国々に多額の援助をしてきたにもかかわらず、その相手国の国民に十分に伝わっていなかったり、或いは援助に対しての十分な感謝と正当な評価すらしていない国が存在している。

 従って今回の安倍政権による見直しは今まで歴代政権が放置してきたものである。このODAのあり方を再構築する上において、私は相手国に対しての援助の仕方の検討だけではなく、国内外に存在する政府の援助に群がっているブローカー的な存在に対しても十分な検証が必要と考える。そのためには政府の援助に対して効果的に活用しているかどうかを調査する公平公正な機関を設置すベきである。

 日本は敗戦後、自国の経済を復興させたのみならず、東南アジアや韓国、中国などの経済発展の基礎作りに多大な貢献をしてきた。また、国連においても難民高等弁務官をはじめとして同機関の様々なプロジェクトに日本は寛大な協力をしてきたことは周知の通りである。本来、我々東洋人は他を助けたことを自慢したり、自ら宣伝することは良しとしない。そのために日本政府も必要以上な宣伝をしなかったかもしれない。

 だが今、日本は時代の変化とともに、国際社会に対して大きな役割を果たすことを期待する国々が増加してきた。時代とともに国連そのものの見直しと、組織のあり方についても色々な意見が各方面から上がっている。

 その一つとして国連の大切な任務である世界平和の構築と維持に関して、現在の五つの常任理事国は本来の役割を果たすことよりも、自国の国益を守るために拒否権を濫用し続けてきている。日本をはじめ、インド、ブラジル、ドイツなどが新たに常任理事国として加わるべきだという意見が一時的には盛り上がり、日本政府もその気になって外交を展開していたが、今はそのような積極的働きが見えない。私はこの政府の援助のあり方の再検討は、国連における日本に相応しい地位を獲得するためにも積極的に、そして効果的に使うべきであると思う。

 日本は外国に対しての金銭的な援助のみならず、諸外国に対し高度な技術の提供や人材育成にも多大な貢献をしている。しかし、中国の孔子学園やフランスの日仏学院、イギリスのブリティッシュ・カウンシルなどのような活動に日本は十分に重みを置いていないように思う。

 確かに、かつて自民党は元NHKアナウンサーの磯村尚徳氏を1991年の都知事選に自民党候補者として担ぎ出し、結果として落選したため、自民党が用意したパリの日本文化会館の館長に就任させた。2005年までは脚光を浴び、ふんだんな予算も提供されたと記憶している。しかし、その後はあまり話題にもなっていないようである。

 ロシアやインドなど世界各国の日本大使館のある所に数十箇所同様の文化センターがあると聞くが、十分に知られているとは思えない。この際、日本を諸外国に正しく理解してもらうことと同時に、日本が必要とする人材を育成するためにもこれらの文化センターをより充実し、日本固有の歴史、文化、言語の教育を徹底する活動を強化すべきである。日本は高齢化社会に向けて労働者不足で海外から70万人を導入しなければならないといわれているが、十分な日本に対する認識、知識も無く言葉もできない人々をただ賃金が安いからと言って受け入れ、不当な労働時間など強要することは却って反日外国人が増加することにつながり、決して建設的ではない。既に日本国内の一部のメディアではこのことを問題化している。

 日本の少子高齢化時代に向けて、国の発展のために諸外国の優秀な人材を登用し、彼らに十分な技術と経験を与えることで、祖国へ戻ってから役立つ人間を作ることは、双方にとって有益であることは言うまでもない。2020年のオリンピックに向けて、建築業などに諸外国から研修という名目で、低賃金の労働者を確保し、彼らの滞在期間を3年から5年に延長する方針が与党の中で議論されているようだが、私は一時しのぎのためのパッチワーク的な法改正などは問題の解決にはならず、日本は長期的展望でこの問題を考え実践することが極めて重要だと思う。

 今回のODAの再検討において国益という当たり前の言葉を、やっと日本国においても普通の国並みに考えるようになったのではないか。今まで国益という言葉そのものに嫌悪感のようなものを抱く人が多かった。特に自称リベラルな人々の中にそれがあったように思う。故に今回政府が思い切った形で国益を重視するという決断は、まさに安倍首相の言う積極的平和主義への一石となろう。

※世界日報(2015年2月23日付)掲載

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