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2015年6月23日 (火)

大訪中団歓迎に騙されるな

国際秩序を脅かす中国
毅然とした姿勢を貫徹せよ

  中国はまたもや日本を騙そうとしている。3000人の大代表団を率いて北京を訪問した二階自民党総務会長たちの歓迎会に習近平主席自ら出向き、「日中関係発展を重視する基本方針は変わらず今後も変わらない」と述べたことで、一部の日本の政治家や言論人、マスコミはほっと安堵を覚える形で中国は日中関係の改善に意欲を示していると評価し、中国側が一歩譲ってきたような解釈をしている。
  同じ挨拶の中で「日本軍国主義の侵略の罪を覆い隠し、歴史の真相を歪曲することは許されない」と習主席が言ったことに対しても、歴史認識問題を巡る原則的な立場を強調し、日本を牽制したと加えている。解説者によっては中国は過去の歴史的問題と現在の日中関係の重要性を分けている、つまり中国は日中関係が重要だということをはっきり示してい ると、習主席の発言を肯定的に見ている。
  また、習主席は両国の関係が順調に発展していないときこそ、民間交流の強化が必要だと述べ、このことに対し二階総務会長も「日中関係を支えているのはその時々の政治情勢に左右されない民間レベルの深い人的交流だ。引き続き努力したい」と習主席の言葉に応えている。確かに国と国の間において民間レベルで交流を深め、親善を促進することは大切である。しかし、それは双方が互いに信頼し、お互いを騙すような裏切り行為をしないという前提が必要だ。中国の今までの言動を見ても、それを 確実に守ったという歴史は残念ながら、無い。そもそも日本の政治家や国民が持っているような個々の自由意思で発言し、行動するような自由が中国には重ねて残念な がら存在していない。
今、中国が低姿勢に出ているのは三つの大きな要因があると私は思う。第一の要因は中国自らの度重なるアジア、特に南シナ海や東シナ海などにおける軍による挑発的な行為に対し、アメリカやアジ の国々が強く抵抗し、その中において先のバンドン会讓やアメリ力の上院と下院の合同委員会で、 安倍首相の毅然とした尊厳に満ちた発言が中国や韓国以外のところで評価されているということ。
  第二に中国のアジアにおける経済覇権を目論んだAIIB (アジアインフラ投資銀行) に対し、日本が少なくとも現段階において中国の思惑通りに進んでいないこと、第三に中国の経済が伸び悩み、 成長に限界を感じていることなどから日本が無視できない存在になっているからである。 だから中国は今、あらゆる手を使って日本を何らかの形で利用していきたい、或いは日本の重要性が高まったからである。
この度、二階総務会長は公然の席で安倍首相からの親書を習主席に手渡したと報じられている。安倍首相の親書の誠意に対しては疑う余地も無いが、あの場で手渡したことは十分に計算された演出であり、少なくとも中国の民衆に対し、安倍首相の親書を日本からの白旗のように中国の人民に印象づける形となった。 つまり、習主席としては自分の方から譲歩したものでなく、日本から頭 を下げてきたということを中国の人民にアピールしたと言える。
それと同時に、あの場での日本軍国主義の侵略の罪に触れ、特に日本側が歴史の真相を歪曲することを許せないとの発言は、安倍首相の戦後70年の首相談話の内容に対し圧力を掛ける狙いがあったと思う。また更に過去の責任は一部の軍国主義者にあり、日本人民も 被害者であったと強調していることも、日本の世論を意識した発言であるとみるべきだ。
アジアの主要国である日本と中国の関係が友好的でありアジアの安定を保つことは、両国のみならず世界にとっても有益であることは言うまでもないが、その国際秩序を著しく脅かし、まさに軍国主義を丸出しにしているのは中国自身の昨今の言動を見れば明白である。
  もう一つのアジアの大国であるインドのモディ首相が5月14日から16日にかけて中国を訪問し、元首並みの手厚い歓迎を受けた。しかし、一方においてはモディ首相の到着日に中国政府のテレビはインドの力シミール州とアルナチャル州抜きのインドの地図を使用した。このことを受けて、インドのメディアは厳しく反論し、民衆も怒りを露わにした。あるインドの新聞は、中国は前からは両手でハグし、その手で後ろから刺すような行為をするのであると強く反発した。これは今まで中国に度々信頼を裏切られたインドならではの反応である。日本ももう十分に同じような反応があってもおかしくないのではないか。
  私は日本から中国に挑発する必要性も理由もないが、今までの姿勢を貫くことが、今後の日中関係を真の意味で半永久的な友好関係を築くため必要であると思う。安倍首相は中国から好まれなくとも尊敬される首相となって、中国との平等の関係を構築するため今の姿勢を貫いていくことを希望する。同様に日本国民も主権国家の国民としての自覚と覚悟を持って世界に対し、主権国家としての存在感を示して欲しい。

※『世界日報』(2015年5月31日付)掲載

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