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2015年6月15日 (月)

中国にへつらう国益毀損者

拡張主義の片棒担ぐな 
冷静な分析がいるAIIB

日本には中国共産党の権力者と会うこ とに熱心で、神仏を拝むくらい御利益が あると信じている人たちがいる。村山談話、小泉談話を繰り返すことにも題目を唱えるほどのご加護があると信仰している人もいる。その人々にはどぅやら真の中国を見ることよりも、自分たちが見た い中国しか目に入らないようである。最 近のアジアィンフラ投資銀行(AIIB)への参加についても、日本はバスに乗り 遅れないようにと騒いでいる。
  4月22日のバンドン会議も、会議の歴史的意義や今後の役割を考え、日本がこの会議でいかに存在感をアピールし、アジアの安定と繁栄、そして世界平和に寄与するかというより、習近平中国国家主席に安倍首相が拝謁する機会に恵まれる部分だけにメディアの関心が行った。そ のような方向へ誘導しようとする勢力も活発に動いている。
 習近平と会うことは互いに一国の最高権力者としての対等平等な環境でなければ、会う意味がない。会ってお互いに何 を話し、それが今後日本にとってどのよ うなメリットをもたらすかが重要であ る。中国はバンドン会議を舞台にし、ア ジァのリーダー、発展途上国の味方であ ることをアピールするために演出をした。
  昨年のAPEC首脳会議で、両首脳がったときの習近平の無礼極まる態度は、彼自身の傲慢さを露呈するものにな ったと日本の一部の良識者はあきれ返っただろう。しかし彼自身の中国人民や世界に対しての目的はあれで十分に達成することができた。
  今回、先方からも会談を積極的に実現することが両国の国益になるという認識 を持って臨まない限り、日本側からへつ らって会談を実現する必要はなかった。日本人は礼を重んずる民族であり、それに対しては世界からもそれなりの評価を受けている。だが、伊達政宗公の言葉にあるように「礼も過ぎればへつらうこと になる」ということを忘れてはならない。
中国が実現しようとしているAIIB についても、冷静にその目的と経緯を分析し、現状を把握することが重要である。 中国の目的はあくまでも「一帯一路」の 構想を実現し、まずは経済的覇権を実行することで中華帝国の基盤づくりをしよ うということは、中国自ら明言しているのに、その事実から目を逸らし、あくま でも一部の企業が利益を得ることしか考 えていない。その人々は無意識のうちに自国の国益よりも企業益に盲進してい る。その結果として、日本の国益を失う ことになるのを忘れている。それだけで あればよいが、それ以上に後になって中 国の新しい経済を媒体とした拡張主義の片棒を担ぐことになり、後悔することになるだろう。
   中国は政治的にも経済的にも決して順 調ではない。一党独裁制度の下、政府があらゆるデー夕を管理し必要があれば捏造すら平気なので、ある程度事実を隠すことに成功しているが、真実はそれほど簡単に隠せるものではない。
  一つの単純な例を挙げると、中国のバブル経済最盛期にはチベット犬(チべ夕ンマスティフ)1匹が200万ドル(2 億円)で取引され、チべタンマスティフと赤いフェラーリは中国の富の象徴とな っていた。
  本来チべタンマステイフは毛が厚く、 チベットのような高地でしか生育していないため、中国人に人気が高い。しかし、 皮肉なことに4月中旬、20匹のチべタンマスティフが他の150匹の犬と共にト ラックで屠殺場へ運ばれる途中に発見さ れニユースになった。これらの犬は1匹 5ドル程度の相場で売買され、皮は手袋 などの材料に、肉は食料などになるらしい。
  また、西部大開発として大々的に宣伝 されたにもかかわらず、炭鉱なども閉鎖されており、石炭を輸送する貨車も廃線となり多くの人々は失職した。日本でも紹介されたように建築ラッシュも途中で 放棄され、砂漠の中で廃墟となっている。 従って、中国は大勢の労働者を外国に送 り込み、外国で大きなプロジヱクトなどを進めない限り、国内の開発も限界に来ており、多額の外貨準備高も減りつつあ るのが事実である。
  かつて、文化大革命という大悲劇から 立ち直ろうとした中国は、ダラィ・ラマ 法王に対し独立以外何事についても話し 合いをする用意があると誘い、その後、 実態調査団が本来のチベット領土を满遍 なく訪問した。しかし、1980年代後半になると北京政府は態度と条件を次々と変えたが、法王は誠意を持つて対応し た。ところが今年4月中旬、北京政府は チベットに関する白書を発表し、法王を分離主義者と決めつけ、今後の接触に関 しては謝罪を要求している。
  理屈に合わない話ではあるが、北京政府は次のダラィ・ラマ法王は自分たちが 決めると言ったり、法王が自ら政教分離を実行し、民主的なチベットの土台作り をした行動さえ偽装独立活動の一環と決めつけている。つまり、中国にとって約束事は時間稼ぎ以外意味がないといぅこ とである。

※ 「VIEWPOINT JUNE 2015」 掲載

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