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2016年8月15日 (月)

能力と道徳で知事を選べ

首都のトップも国の顔
テレビの人気投票にするな

 金銭問題で東京都知事が立て続けに辞職した。一都民として実に残念である。東京都知事はロンドン、パリ、北京、ニユーヨークな どの市長同様、国の首都の行政トップとして極めて重要なポストであり、権威、権力は首相の次程度の重要な地位である。フランス歴 代の首相や大統領がパリの市長経験者であることからも分かるように、国の中核である首都の卜ップ は、一地方行政のトップというよりも国の顔のひとつである。
 今回の舛添都知事辞職に関しては、様々な側面から色々な立場の人々がコメントをしているので、特にここで改めてコメントする必 要は無いだろう。ただ一つだけ意見として表れていないものは法律の問題よりも、人間として守るベき道徳の欠如の問題があると思 う。
 しかし、次期知事候補者として舛添氏が辞職を表明した後に挙がっている名前を見ると、残念ながら選挙民にも、また、政党にも、マスコミにもそのような反省は見られなかった。依然として知名度優先の人気投票のような気分で候補者を選ぼうとするような雰囲気がある。 例えば、真っ先に有力候補として名前が挙がっている民進党参院議員の蓮舫さんは、政権にあったとき事業仕分け人として「2位じやだめなんですか」などと述べた。
 ナンバー1を目指すことはバカバカしいというような考えの持ち主を、「ナンバー1」つまり1位の金メダルを夢見て日夜奮闘してきた選手たちが活躍するオリンピックの主催都市の主役にしようとしたことは大きな矛盾である。
 他に名前の挙がった人たちに関しても、テレビやメディアに出る露出度が候響の絶対的な必要条件のように誤認されているように思う。これでは前の2人の知事が辞めなければならなかったことの本質的な問題を見ておらず、何らかの過去の過ちに対する反省の色が見られない。
 次の都知事に対して私たちが望むのは、行政経験豊かで政治に対してに真剣に取り組んできた人物で、派手ではなくても真面目に公約を果たし、都民の幸せを重んじ、国家の利益を追求できる人物である。政治を玩具のように途中で投げ出しては次のポス卜を目指す、タレン卜政治家の名前も挙がったが、私から見ると東京都現職の副知事である安藤立美氏のような行政能力のある人の名前が出てこないのも腑に落ちな
い。
 確かに、地味でありタレン卜性はややもすれば不足かもしれないが、東京都の混乱に終止符を打ち、来る2020年のオリンピックまでに東京都への信頼回復と日本の名誉を取り戻すには適任であると思う。
 日本では、本来であれば良識と公正・公平さをもって真実を追求し、その事実を読者や視聴者に伝え、建設的な世論に貢献すベきメディアが、現在行われている参議院選挙など国政選挙や地方自治の要である東京都の都知事選挙も商業べースでしか考えていない様子であり、AKB48の「総選挙」並みの商業べースでしかこの深刻な問題を取り上げていないように見える。
 例えば、日本の主権が危機にさらされており、今月9日にも中国のスパイの軍艦が日本の領海を侵した問題の重要性に関しては、政治家 になろうとする人々でさえも、このような自国が置かれている危機的状況の認識が希薄であり、目下の参議院選挙で選挙運動に走っている候補者の60%はこの重要な問題を後回しにして経済再建を選挙の争点にしようとしている。国の経済発展は国内外が安定して平和でなければ成し遂げられないものであることを忘れているのではないか。
 NHKの「日曜討論」などを見ていると、共産党、民進党、社民党、生活の党と山本郎となかまたちなどは、国家の安定や安全保障を無視して経済成長を要求し、矛先を安倍首相のみに向けているようだが、それは魔法法使いでもない限り、世界の常識としては期待できないものである。
 今回の中国の度重なる挑発的領海侵犯に対し、日本の外務次官の齋木昭隆氏が夜中の2時に中国の大使を呼び付けて抗議をしたのは、今までの日本から見れば主権国家としての存在を中国だけでなく他の国々にも十分に示すことができたものであり、評価に値する。だが、現段階では海上保安庁中心の巡視船によるパ卜ロールに対し、中国は日本の自衛隊が即行動できないことを読んで隙を見て挑発するに違いない。国会議員になろうという方々は、自国民の生命と財産、国土を守る賁任があることを自覚していなければ国政に出馬する資格などあるのだろう
か。
 最後に今回の都知事選に女性をという動きもある。勿論、女性にも有能な人たちが沢山いることは間違いないし、女性が知事や首相になることも大賛成だが、風潮として女性であることを基準にするのはいかがなものか。いずれにしても私たち選挙民は、人気投票をするのではなく、東京都やこの国の未来を託すに相応しい人物を選ぶことが国民として、都民としての義務であろう。

※『世界日報』(2016年6月27日号)に掲載

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